F1グランプリがエルサレムに来た! 2103.6.15

エルサレムでは昨日と今日、F1グランプリが行われた。・・・とはいえ、鈴鹿のようなサーキットがあるわけではない。エルサレムの道路を閉鎖して、サーキットにしてしまったというわけである。

エルサレム旧市街の城壁の前を、カラフルな最先端のF1カーが、爆音を挙げて走る。観客は10万人ともいえる大群衆で、走行経路の周囲に集まって、走り去るレースカーを見物、カメラやスマホを構えた。文句なしに楽しかった。

集まったのは、世俗派ユダヤ人だけではない。正統派ユダヤ教徒もいっぱい。パレスチナ自治政府のテレビ局はじめ、パレスチナ人の若者、アルメニア人、ギリシャ正教のお坊さんまでが来ていた。

走り去る車があまりにも速い(時速230キロ)ため、写真に納めるのも難しい。「おー」といいながら走ってくるF1車をむかえ、一瞬に走り去ったあと、皆がいっせいに笑っているのがなんともうれしかった。ホットドッグとビールのお店も出て、お祭り騒ぎだった。(ビール300CCぐらいが24シェケル(700円くらい))今日、エルサレムは実に平和だった。

<敏腕ニール・バルカット市長>

今のエルサレムの市長、ニール・バルカット市長は、世俗派で、ITウイルス関係のスタートアップ会社を15年も経験した敏腕ビジネスマン。すでにミリオネアである。お金は十分あるということで、年間1シェケル(30円)の給料(?)で、市長を務める。

今回のF1イベントは、エルサレムでF1を走らせるというかなり突飛なアイディアだったが、バルカット市長と、IT時代に友人となったロシア人のカプリンスキー氏(同じくITウイルス関係でミリオネア)との夢だったという。

バルカット市長は、記者会見で、「これは平和への投資であり、長い目でみれば、確実にイスラエルの益になると信じている」と語った。今回のイベントにはかなりお金がかかっているが、バルカット氏のビジョンには、ネタニヤフ首相も賛同しており、国も投資したという。この他、ミリオネアたちの献金によって実現できた。

バルカット市長はこうしたスポーツ・イベントが平和を推進すると信じ、エルサレムマラソンなど、数々のイベントやカンファレンスをエルサレム市内で開催している。昨日まで行われたエルサレム旧市街の光の祭典もそうだが、パレスチナ人でもだれでも参加できる。

バルカット市長は、就任早々、先までみこした夢のあるビジョンを発表し、市政を行っている。特に観光業は年間100万人を目標に、着実に前進している。これまで20年、エルサレムをみてきたが、今ほど活気にあふれた時代はなかったと思う。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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