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ここ数週間、毎週金曜になると、神殿の丘とその周辺で、暴動が発生していたが、今週金曜は、神殿の丘に久しぶりに平穏が戻った。パレスチナ人の年齢による入場制限も行われなかった。
しかし、エルサレム北部、エルサレムとラマラの間、カランディア付近では、パレスチナ人150人が防護壁を超えてイスラエル側へ入り、パレスチナの旗を降りながら、「エルサレムをイスラエルから解放せよ!」と叫ぶデモを行った。
ヘブロンでは約300人が治安部隊に投石し、紛争となった。未成年2人が逮捕されたが、負傷者は報告されていない。
北部では、クファル・カナで、警察を襲ったアラブ人が、警察に射殺されたことへの抗議と、神殿の丘の解放を訴えるデモが、今日も数百人規模で続けて行われた。今日は、イスラエルのアハロノビッツ治安相がカナを訪問し、町の指導者らと会談している。
また、普段からイスラエルへの敵意で知られるウム・エル・ファハンでは、アラブ系議員2人と女性や子供たちを含む1500人が、パレスチナの旗を降りながらのカナと同様の、反イスラエルのデモを行った。
<イスラエルの対処>
イスラエルは続けて、各要所に治安部隊を配置するとともに、上空からは、監視バルーンや、ヘリコプターで、テロになりそうな動きを早期に察知する警戒態勢を続けている。
守るだけではない。ネタニヤフ首相の指示により、これまでにエルサレムで発生したテロの犯人たちの自宅を罰として破壊することが、それぞれの家族に通知された。みせしめであり、将来のテロに対する抑止を目的とした措置である。
また、イスラエル政府は、テロが発生するたびに、報復として、グリーンラインよりパレスチナ側にユダヤ人の家の建築を許可するという措置もとっているが、ネタニヤフ首相は、今回も東エルサレムに新たに200軒の建築許可を出した。
こうした措置は、アメリカ、EUなどから「問題の解決にはつながらない。」として非難されている。しかし、中東のアラブ文化においては、実質的に強さを示すことだけが、相手にものを伝える手段なので、イスラエルは、国際社会から(一部の自国民から)非難されても、気にしている場合ではないといったところか。
<ケリー国務長官登場>
神殿の丘は、ユダヤ教、イスラム教双方が、聖地として一歩も譲れない場所で、まさに一触即発の繊細きわまりない場所である。ここでいったん、わだかまりが発生すると、双方に大義名分となり、一気に深刻な紛争へとつながっていく。
今回も、一時的だったが、イスラエルが神殿の丘を全面的に閉鎖し、イスラム教徒も入場できないようにしたことは、イスラム教徒全体に「ユダヤ人に神殿の丘をとられる。ユダヤ人の暴挙だ。」と思わせるに十分だった。
テロはこれに反発する形で拡大し、西岸地区、ガザ地区のパレスチナ人、イスラエル国内のアラブ人敵意まで表面化させることになった。さらに、今この問題の対処を誤れば、ヨルダン、エジプトから中東のイスラム全体にまで影響が広がる可能性もある。
実際、ヨルダンは、イスラエルへ抗議として、駐イスラエル・ヨルダン大使を呼び戻している。また、パレスチナの国連代表は、国連に「イスラエルはイスラムの神殿の丘での礼拝に敬意を払わず、妨害している。」として国際社会の介入を要請している。
そこで登場したのがケリー米国務長官。木曜、ヨルダンのアンマン訪問し、まず、パレスチナ自治政府のアッバス議長と会談。夜には、神殿の丘の管理者であるヨルダンのアブドラ国王と、ネタニヤフ首相を引き合わせて、双方、以前の均衡状態に戻すために実質的な方策を講じるということで合意をとりつけた。
ケリー国務長官によると、ネタニヤフ首相は、エジプトのシシ大統領にも神殿の丘を以前の”現状維持”に戻すための方策を連絡しているという。