身体的精神的虐待を生き延びた男性3人解放:Redemption(贖い)という表現 2025.2.2

(Photos: IDF Spokesperson; Ronen Harish/GPO)

男性市民3人解放

2月1日(土)朝8時半、オフェル・カルデロンさん(54)とヤルデン・ビバスさん(35)は、カン・ユニスで国際赤十字に引き渡された。

前回のような混乱はなかったが、やはりステージの上で手を振るなど、見せ物のようにはされていた。

この2時間後、キース・シーゲルさん(65)が、ガザ市で、赤十字に引き渡された。解放時は、例のハマスからの土産袋を2つ持っていた。2つ目は、先に解放された妻のアビバさんのものとのこと。

1)オフィル・カルデロンさん(54)

オフィルさんは、キブツ・ニール・オズで、4人の子供のうち2人とともに拉致された。2人の子供達は、2023年11月に解放されていた。オフィルさんは、国境で子供たち4人、また解放運動のリーダーとしても解放に努力してくれた兄、またパートナー(配偶者)のエラさんとも面会を果たした。

オフィルさんは、フランスとイスラエルの二重国籍である。解放にあたっては、マクロン大統領が、歓迎を表明し、他にもまだいるフランス国籍の人の解放を訴えた。

2)キース・シーゲルさん
キースさんは、キブツ・クファル・アザから妻のアビバさんと共に拉致されていた。アビバさんは、2023年11月に解放されていた。キースさんの母(97)は、この12月に死去しており、キースさんとは再会できなかった。

キースさんはアビバさんに再会。続いてシバ病院で3人の娘、また兄とも面会を果たした。キースさんは、アメリカとの二重国籍である。エルサレムのアメリカ大使館は、キースさんの解放に安堵を表明している。

3)ヤルダン・ビバスさん(35)

ヤルダンさんは、妻のシリさんと2人の子供、クフィルちゃん(10ヶ月)とアリエル君(4)と拉致されたが、妻と子供とは引き離された。今回は、ヤルダンさんだけの解放である。ヤルダンさんは、シバ病院で、両親と姉との再会を果たした。

シリさんと2人の子供については、生きているのか死んでいるのかはまだ確定はされていないが、非常に厳しいとみられている。家族たちはヤルダンさんが戻っても、3人が戻らないうちは、複雑だと言っている。

ハマスは、2023年12月に、ヤルダンさんをプロパガンダのビデオに登場させていた。内容は、妻と子供が殺されたと述べて、合意に応じないネタニヤフ首相を非難するというものだった。

この時のヤルダンさんの精神的苦痛は計り知れない。このクリップについては、事実の確認が出来ないものであり、プロパガンダだとして、公には公表されていなかった。

www.timesofisrael.com/yarden-bibas-keith-siegel-ofer-calderon-freed-by-hamas-after-484-days-held-hostage-in-gaza/

人質たちは、拉致された当初殴る蹴るの暴行を受け、檻に閉じ込めたという。また、監禁されていた間、食料不足に苦しんだと語っている。

ガザ市で拘束されていたキースさんは、他の人質とともに、家とトンネルを移動させられたという。キースさんはベジタリアンだったが、食べ物がほとんどない中、与えられたのが肉だった場合、その肉を食べざるをえなかったとのこと。

ヤルダン・ビバスさんのように、身体的だけでなく、意地の悪い、精神的な虐待も受けていたようである。

www.ynetnews.com/article/rjewsw200yl#autoplay

石のひとりごと:贖いという表現

イスラエルのGPO政府プレスオフィスは、人質解放に関する情報を、メディアに配信してくれている。そのタイトルに使われていることばが、「Redemption of hostages (人質のあがない)」と言う言葉である。

あがなう、つまり、人質を買い取るということ。イスラエルは、今、第一段階として、ガザで人質になっている33人の国民のために、1904人のテロリストを釈放するという、膨大な支払いをしているということである。

それによって人質は地獄のガザから解放され、本来いるべきところに戻ることができるのである。

この「あがない」という言葉は、イエス・キリストが、罪人である私たちの身代わりに十字架刑を受け、その支払いをしたことにも使われることばである。イエス・キリストが身をもって、罪の罰、その代価を支払ってくれたことで、地獄にいくことになっている私たちが解放されるのである。

信じた者はイエスに買い取ってもらった、それで本来の生き方に戻れるのである。このことにおいて、より高価な人、そうでない人と言う区別はない。神が創造した人々は全員、同じように高価な存在である。

しかし、ハマスは、人質解放において、民間人人質1人に対し、パレスチナ人囚人30人、イスラエル兵には50人という値をつけている。タイ人については、関係者でないこともあるが、無料だった。神が創造した人間にこのように値をつけるということが、どれほど不条理であり、恐ろしいことかと思わされる。

イスラエルは、今、おおむねハマスの要求に応じて、凶悪犯を西岸地区や東エルサレム、ガザにも釈放している。このリスクははかりしれない。イスラエルは、それほどに、国民一人一人が高価であると考えているということである。

そのことによって、人質たちは地獄でも生き抜く励ましを得ていた。解放された人質は皆、そのことに、深い感謝を表明している。

同様に、私たちキリスト者は、このことから、自分がいかに、神にとって貴重で、愛されている存在かを知ることができる。それが今を生きる力になるのであり、地獄からの解放も意味するのである

人は自分の兄弟をも買い戻すことはできない。自分の身代金を神に払うことはできない。 —たましいの贖いしろは、高価であり、永久にあきらめなくてはならない—(詩篇49:7-8)

わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している。だから、わたしは人をあなたの代わりにし、国民をあなたのいのちの代わりにする。(イザヤ43:4)

この方にあって私たちは、その血による贖い、罪の赦しを受けています。これは神の豊かな恵みによることです。(エペソ1:7)

神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに、世を愛された。それは御子を信じる者が、ひとりとして滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。(ヨハネ3:16)

 

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。