誘拐の主犯容疑者2人公開捜査へ 2014.6.27

3人の少年が誘拐されてから、2週間が過ぎた今日、イスラエル政府は、主犯とみられる2人のパレスチナ人の名前を写真を公開した。

公開されたのは、アマル・アブ・エイシャ(33)と マルワン・カワスメ(29)。2人は、誘拐事件の夜から行方不明となっており、今も逃亡中。2人の身柄は、パレスチナ自治警察も追っている。

誘拐された3人の命を守るため、イスラエル軍は、一時、容疑者二人の妻を拘束し、何度か自宅への捜査に入ったという。現在、妻たちは釈放され、自宅に戻っている。

2人は、ハマスメンバーで、何度もイスラエルの警察に逮捕された経歴がある。諜報機関は、2週間前には、すでに2人を特定していたが、誘拐された3人を探すことと、他の関係者を逮捕するため、泳がせていたという。

<なぜ今公開するのか?>

主な目的は、公開することで、パレスチナ市民からの通報が期待されている。

西岸地区に入っているイスラエル治安部隊は、いったん規模縮小との情報が出たが、その翌日、再びフル・スケールの大軍で昼夜の作戦を再開している。ラマダンを前にイスラエルの大軍の存在は目障りに違いない。

表にはでてこないが、イスラエルに情報を提供することで、見返りがあることはだれもが知っているという。

犯行がハマスだという証拠を公に提示する必要もあった。ネタニヤフ首相が、犯行はハマスによるものと主張して、大規模な捜索・一掃作戦を行っていることについて、国際社会からは証拠を出すべきだとの声が出始めていたのである。

また、パレスチナ人、イスラエル国内からは、ハマス一掃のためにイスラエルがしくんだことではないかという噂も出始めていた。

ネタニヤフ首相は、主犯とみられるハマス2人を公開するとともに、必要な国々には、さらなる情報も提供したと言っている。また、アッバス議長に対し、改めてハマスとの統一政府を解消するよう訴えた。

<入植者の安全対策> http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/182183#.U6x76KW9DCv 

今回、誘拐された少年たちは、夜にヒッチハイクしていて被害に合っている。西岸地区の入植地では、利用客がまばらであるため、バスのサービスが極端に悪い。日本で言えば、地方路線が廃止になるようなものである。

かつて、サービスの改善のために、国家予算も計上された。しかし、ヒッチハイクでなんとかなっている事もあり、結局対処はされなかった。そのため入植地では、中高生でもすでにヒッチハイクで登下校している。

今回の事件を受けて、政府は、西岸地区の入植地周辺のヒッチハイク地点へのパトロールを強化し、バス停のライトアップとともに、防犯カメラを設置することを決めた。

さらにイスラエル軍はバス会社と交渉し、バスの本数を増やすとともに、現在、9時か10時が、最終となるところ、夜中過ぎまで走らせる方向で検討中だという。ただし、これにはかなりの費用が必要となり、実現するかどうかはまだわからない。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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