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ガザでの戦闘でイスラエル人死傷者
ガザでは今も各地で、激しい戦闘が続けられている。5月29日(木)、ガザ北部では、イスラエル軍が戦闘を続けており、ガザ側に44人の死者が出ていた。
この激戦地で、イスラエル国防省の民間請負業者として雇われ、重機を扱っていたデービッド・リビさん(19)が、仕掛けられていた爆弾が爆発して死亡した。
これまでに民間請負業者として入って死亡した人は3人。戦死者は421人となった。
ドーハでは、ハマスとイスラエルの間接交渉が続けられており、今また人質解放と一時停戦の交渉の話になっている。
今回もイスラエルは、アメリカのウィトコフ特使の一時停戦案を受け入れると表明したが、ハマスは、おそらく今回も拒否する様相である。
政府が予備役招集の最大数を45万人に増加(イスラエル史上最大)
イスラエルでは、1年半というイスラエル史上最長(独立戦争は除く)になるガザでの戦争に、もう疲弊し尽くしている。それは、人質となっている同胞58人への懸念と、家族を兵役に取られる時のストレスである。
イスラエルでは、18歳になると男女全員が、それぞれ3年、2年、兵役につくことが義務とされている。その後、予備役兵となり、必要に応じて招集される。近年人で不足もあり、昨年、国会は、原則41歳まで(将校は50歳まで)と予備役期間の延長を決めている。
Times of Israelによると、イスラエル軍で、現時点で従軍している兵士は、約10万人。それ以外は予備役兵である。2023年10月7日以来、予備役として招集された人は、年間最大30万人だった。ところが、政府は、今年5月26日(月)、その数を、次の3ヶ月の間に、最大45万人に増やすことを決めた。
イスラエル総人口のうち、ユダヤ人は、約770万人なので、45万人という数字は相当大きい数字である。イスラエル史上最多とのこと。
予備役兵の多くは20代から30代の若い人々で、多くは大学を休学するとか、職場から休職するなど、人生を中断させられることになる。従軍した後、元の同じ人生に戻れるかどうかはわからない。
国防省によると、ガザでの戦争が始まってから負傷した兵士の66%は予備役兵だった。その半数はPTSDと診断されている。
また、兵役が終わって職場などに戻った時に、パニック症候群を発症する人もおり、2023年10月7日以降に予備役兵として従軍した人の41%が、それまでの職を解雇されるか辞任するかに至ったという数字が出ている。
結婚していない人の場合、従軍する本人は言うまでもなく、息子を送り出す両親にとっても、息子が前と同じではなくなる可能性や、死んで帰ってこないことも覚悟しなければならない。
イスラエル軍の場合、短期で呼び出されて戻ってきて、また呼び出される。本人も家族も、送り出すたびに耐え難いストレスになる。
若い父親も多い。Times of Israelの記事によると、ツェマック・デービッド・シュロスさんは、結婚後まもなく招集され、10月7日以降19か月の間に、合計270日とこの期間の半分以上を軍ですごさなければならなかった。
一人の従軍期間は、年間2か月半以内となってはいるが、実際にはそれ以上になっている人もいるようである。
シュロスさんが帰ってきていた時に息子が産まれたが、その1週間後にはまた軍に戻った。いつ死ぬかもわからない戦場で、産まれたばかりの息子を思う日々だったという。
また、シュロスさんは、帰ってもいつまた招集されるかわからないことが怖かったので、家族に近づきたくなかったとまで言っている。
兵役を拒否する人はいるが、まだまだ多くはない。イスラエル人の場合、国ために戦うことには、日本人が思うほど抵抗はない。兵役に応じる人は120%。つまりすすんで従軍する人もいるぐらいだということである。
しかし、人々の不安と負担はもう限界に来ている。こうなると、兵役義務が免除されているユダヤ教超正統派たちへの不公平感が高まっているとのことである。