23日、イスラエルは今年も無事、独立記念日を祝うことができた。しかし、例年になく気温が低い上に、22日夜からかなりの強風が吹いたため、屋外でのイベントは、冬のオーバーとマフラーに身を包み、口々に寒い、寒いといいながら立っているというありさまだった。
恒例の屋外バーベキューも、いつもより少なかった。太陽が出ている間はそれなりに暖かいのだが、次の瞬間、雲が太陽をかくして、ちょっと雨も降る、その繰り返しだった。公園で家族でピクニックをしている人もいて、子供は走り回っていたが、風があるうえ、寒いのであまり心地よいピクニックではなさそうだった。
しかしそれでも、イスラエル軍の戦闘機が、全国の都市上空でアクロバット飛行を披露し、独立記念日の花になった。また今年も、毎年恒例の国際バイブル・クイズ大会が行われ、中に入れてくれないセキュリティとバトルしながらも、取材に行ってきた。
イスラエルを含む、全世界33カ国のユダヤ人少年少女たち16人がえり抜かれて優勝を競った。最終の決勝は、ネタニヤフ首相が出題。優勝したのはイスラエル人で、ユダヤ教イシバに通うアイエル君(15)。
ネタニヤフ首相から優勝のトロフィーを受け取り、家族や友人たちの祝福に囲まれていた。(写真)
<統計データより> www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/194360#.VTlfhqW9DCt
独立記念日恒例の国は、人数も順調に増え、経済も順調である。イスラエルの中央統計局による基本データは以下の通り。
1)総人口:昨年から16万2000人(2%)増えて、834万5000人。このうち、75%(625万1000人)がユダヤ人。*アラブ人は20%(36万4000人)
昨年中に生まれた新生児17万6000人。 移民者3万2000人。最大の移民もとは、ウクライナ、フランスがほぼならんでいる。
移民者も来ているのだが、”サブラ”と呼ばれるイスラエル生まれのユダヤ人が75%になった。
建国時の人口は80万6000人、イスラエル生まれのユダヤ人は35%だった。イスラエルは、「ユダヤ人の国」として、着実に定着してきたといえる。
2)世界一無宗教の国!? http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/194432#.VTjsr6W9DCt
ギャロップ(世界でも信頼されている統計会社)の統計によると、イスラエル人の57%が、自分自身を”宗教的でない”と答えた。8%は「無神論者」と言っている。
宗教的でないとはいえ、ユダヤ人のアイデンティティは、ユダヤ教と完全に切り離せないものである。全く何の宗教ももっていないというわけではない。しかし、ユダヤ教を宗教として、日常に本格的に取り入れていないという人が65%だということである。
しかし、これは今にはじまったことではない。イスラエルはもともと、こういう人々によって、建国したのである。
ユダヤ教によると、イスラエルは、メシアが到来して、立ち上げることになっている。実は、メシアが来る前に国が立ち上がっては都合が悪いのである。そのため、ユダヤ人たちは、歴史的にも長い間、自らの手で、イスラエルの国を立ち上げようとは思いもしなかった。
ところが1800年代後半から、国がないために、虐殺される状況においやられるようになってきた。この中で、国をたちあげようとするユダヤ教に固執しないユダヤ人が、おこされてきたのである。これがシオニズム運動である。
イスラエルは、その結果、生まれた国、つまり、”宗教を持たない”と主張するユダヤ人が立ちあげた国なのである。
イスラエルは建国67年の今日に至るまで、この”宗教を持たない”類いのユダヤ人に導かれ、進歩し続けて来た。今も、斬新なアイディアと、たぐいまれな根性、踏ん切りのよさでもって、新しい技術開発や企業を立ち上げて、世界ををリードしているのがイスラエルなのである。
*ちなみに、アメリカ人は、35%が、宗教なし、または無神論と答えている。欧米で、無宗教と答えた国のトップは70%のイギリス。かつてピューリタンを生み出したイギリスだが、なんとも時代は変わるものである。
<大統領としてはじめての独立記念日:建国の思い出を語るリブリン大統領> http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4649805,00.html
今年の独立記念日はリブリン大統領にとっても、大統領になってはじめての独立記念日となった。リブリン大統領は、エルサレムで生まれ、9才で建国宣言とその後の戦争をすべて経験している。
建国宣言がなされたとき、今後どうなるのかはだれにもわからなかった。勝てるのか、生き残れるのか、だれにもわからないまま、建国の日を迎えたという。大統領は、建国宣言の日に、エルサレムの通りが喜びの人であふれた時、そこにいた。
その翌日にはアラブ諸国との戦争が始まった。負けるという選択肢はなかった。生き残るのか、消滅するのかのどちらかだった。全国民が武器をとって戦った時代を大統領は知っている。
当時のユダヤ人たちは、生き残るという決意と希望を持ち続けた。その希望の上に、今のイスラエルがあると大統領は語る。イスラエルの国が今もあるということには大きな代価があった。イスラエルの旗が高く掲げられるとき、今でも涙が出るという。
そんな大統領だが、イスラエルをユダヤ人だけのものだと固執する様子はいっさいない。大統領はアラブ系市民との関係改善を望んでいる事を公にすることを率先してやっている。
独立記念日には、毎年、イスラエル軍で活躍した兵士120人が、大統領からメダルを受け取る事になっている。今年は、アラブ人女性士官候補生がその中に含まれていた。この女性士官は、家族には言わないでイスラエル軍に従軍しているという。
また、独立記念式典では、昨年度、国に貢献した12人が灯火することになっているが、そのうちの一人に、チャンネル2でもキャスターを務めるアラブ人女性ジャーナリストのルーシー・アハリスさんが選ばれた。ルーシーさんは、イスラエルからの光栄を喜んで受けるといっている。
しかし、その逆のケースもあった。今年、イスラエルは、ユダヤ人過激派に焼き殺されたモハンマド・アブ・クデールさん(16)を、テロ被害者リストに含めると家族に伝えた。父親は、「イスラエルからのテロ認定は受けない。」と断ったという。まあこちらはちょっと無神経だったかもとも思うが。。。
リブリン大統領は、独立記念日の挨拶で、「イスラエルはすべての人々にとって自由、たんに恐れや脅威からの自由ではなく、進歩し続けるための自由の国であることを希望している。」と語った。
<国連でもイスラエルの建国記念パーティ> www.israelnationalnews.com/News/Flash.aspx/324132#.VTlmu6W9BCs
ニューヨークの国連本部では、イスラエルの国連大使が、バンキムン国連事務総長や、各国代表を招いて建国記念のシャクショカ(イスラエルフード)パーティを開いた。国連総長も「タイーム!」といいながら、イスラエルの67回目の独立記念日に祝いを述べた。