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痩せて衰弱の人質3人の様子にイスラエル国内はショック
2月8日(土)にガザから解放された3人、オハッド・ベン・アミさん(56)エリ・シャラビさん(52)、オール・レヴィさん(34)は、これまでと違い、相当に痩せこけて衰弱していた。3人のあまりに衰弱した様子に、イスラエル国内では、一気にショックが広がった。
*ハマスは50歳以下は民間人でも兵士をして扱うので、オール・レヴィさんだけ軍服風の服装になっている。
また3人は、ハマス戦闘員たちに囲まれて、ステージにふらふらと上がらされ、何かを言わされていた。毎回行われている、このショー的なプロセスは、イスラエルに対する勝利宣言であり、ハマスのプロパガンダである。ステージで、3人が何を言わされていたかは、報じられていない。
3人はその後、赤十字に引き渡され、国境でイスラエル軍に引き継いだ後、軍の施設で、家族と短時間の再会を果たした。その後、ヘリコプターで、イスラエル国内の病院へと搬送され、そこで再び家族に再会した。
イスラエルの保健省によると、3人は、極度の体重減少、栄養失調に陥っていると報じられていた。しかし、その後、病院での精査で、それ以外にも、心臓疾患、長期感染症、筋肉量の極端な減少、身体的精神的衰弱があると報じている。
喜びと深すぎる悲しみと
オハッド・ベン・アミさんは、病院で、妻のユリさん、娘のナタリーさんとエラさんと感動の再会となった。
オハッドさんは、1年4か月、地下の狭いトンネルに換金されており、頭をぶつけていたことなど話している。
エリ・シャラビさんは、解放された時に、妻リアンヌさんと2人の娘、ノイヤさん(16)とヤヘルさん(13)は10月7日に自宅の避難室で殺されたということ、共に拉致された弟のヨシさんも死亡が確認されていることを聞かなければならなかった。
エリさんを迎えに来たのは、母親と妹だった。
オール・レヴィさんは、妻と音楽フェスに行っていてハマスに拉致された。妻のエイナフさんはハマスに殺害された。このため、息子のアルモグ君(3)は、両親を失った形になっていた。
オールさんは、アルモグ君と、イスラエル軍基地で、ビデオで対面したあと、病院で再会を果たした。
オールさんが、アルモグ君をしっかり抱きしめる様子が伝えられている。
アルモグ君は、「お父さん、帰ってくるまで時間がかかったね」と言ったという。オールさんの母親と兄もオールさんと感動の再会を果たした。
www.timesofisrael.com/almog-3-to-his-dad-freed-hostage-or-levy-it-took-you-a-long-time-to-come-back/
人質家族にあせりと政府への怒り;残りの人質全員を確実に解放させよ
今回も、テルアビブの人質広場では、大きなスクリーンでこの様子を見守る人々がいた。3人の悲壮な様子に、ショックと、喜びと怒りを共有することとなった。
まだガザにいる73人(34人は遺体)が、たった今、どれほどの苦難と危機に置かれているか、その危機感が高まったようである。
人々の怒りは、ハマスだけでなく、人質の解放を急がない政府にも向けられた。
人質家族やその支援者約1000人は、人質広場に近い、テルアビブのイスラエル軍本部前に集まり、「解放が遅れたら、それだけ遺体が増えるだけだ。」と訴え、アメリカにまだ滞在していて、第二段階の交渉を延期させているネタニヤフ首相への怒りを訴えた。
人々は、早急に第二段階の交渉をとりまとめ、確実に全員を解放させるよう、政府に要求した。
イスラエルはパレスチナ囚人183人を釈放
2月8日(土)イスラエルは、パレスチナ囚人183人を、西岸地区とガザへ釈放した。
111人は、ハマスとの戦争が始まってからガザで拘束したパレスチナ人で、72人は、それ以前に逮捕していたテロリストである。このうち18人は終身刑であった。
釈放されたテロリストの中には、2004年のベエルシェバでの自爆テロ(イスラエル人16人死亡・100人以上負傷)を計画し、終身刑を18回も宣告されているアブ・シュケイデム(49)が含まれていた。他にもこれと同様レベルのテロリストが、何人も含まれていた。
今回もラマラでは、ヒーローのウエルカムの祝賀の様相であった。
石のひとりごと
イスラエル人は家族を自分にとって、最も大事なものと認識している。そのことは、人質を迎える様子からもわかる。
それだけに、家族全員を失った人や、母親を失ったあと1年以上も父親なしで、その生死もわからないまま祖父母と過ごした3歳児を思うと、このテロの悪の度合いを実感させられる。
また、パレスチナ人は、まずは家族ではなく、組織関係の者たちに迎えられている。人殺しをヒーローと迎えている。双方の文化、価値観の違いの大きさを思わされる。これが交渉していくのだから、まとまるほうがおかしいのであり、困難は、想像を超えていると思う。