生きていた13才テロリスト少年 2015.11.17

12日、エルサレム北部ピスガット・ゼエブで、自転車の13才のユダヤ人少年が、13才と15才のパレスチナ人少年らに殺害された事件。この事件では15才の少年は治安部隊に撃たれて死亡。13才の少年は、逃げる途中で車にはねられていた。

これについて、パレスチナ自治政府のアッバス議長は、「イスラエルは冷酷に、パレスチナの少年を殺した。」とイスラエルを非難した。

しかし、この少年は死んでいなかった。ユダヤ人少年を殺した後に、車ではねられ、今は、イスラエルの病院で治療を受けている。

アッバス議長のコメントを受けて、イスラエルは、アフマド・マンスラ(13)の写真を全世界に公開し、パレスチナ自治政府の嘘による扇動の証拠だと訴えた。

この後、「イスラエルの武力行使は行き過ぎだ」と言っていたアメリカだが、ケリー国務長官が初めて、「パレスチナは扇動をやめるべきだ。」とのコメントを出した。

この13才の少年は、テロリスト、殺人者として名前も顔も全世界に知られることとなった。しかし、13才の少年(日本でいえば中学1年生)が自主的にユダヤ人を殺す事を思いつくとは考えにくい。それをこの子に教えた大人か、なんらかの影響を与えた教育があるということである。

殺された13才のユダヤ人の少年とその家族の痛みとともに、これからこの重荷を背負って行くこの少年のことを思うと、それもまたむなしく、大きな痛みである。

www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4711817,00.html

<嘘と無差別殺人に走るパレスチナ人テロリストたち>

アッバス議長の嘘か誤りだったが発覚した翌日、金曜、パレスチナ側は、前にもましてイスラエルに対する敵意を燃え上がらせているようである。

1)ジャーナリストに扮してイスラエル兵を襲撃 http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4712283,00.html

15日、ヘブロンでは、プレスのマークをつけ、取材カメラマンになりすまして、検問所に近づき、イスラエル兵を刺そうとしたパレスチナ人がいた。襲われた兵士は、中等度の負傷。テロリストは、その場で射殺された。

イスラエルの外国人記者たちは、直ちにこの事件を非難するコメントを出し、パレスチナ自治政府に記者証を再調査するよう要請した。

*イスラエルで取材活動するメディア関係者は、イスラエル政府プレスオフィス(GPO)が発行する記者証と、パレスチナ自治政府が発行する記者証と2種類を持って取材活動を行っている。

なお、外国人記者たちは、ここしばらく、イスラエルのパレスチナ人に対する過剰な武力行使、ジャーナリストの取材活動も妨害するとして、イスラエルを非難し続けていた。

2)同胞パレスチナ人の巻き添えもありの爆弾設置

16日、イスラエルの警察犬が、エルサレムのヘブライ大学北の検問所近くに仕掛けられたパイプ爆弾を未然に発見した。もし爆発していれば、イスラエルの治安部隊だけでなく、そこを通過するパレスチナ人も被害にあう可能性があった。

www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/201995#.ViEiK6UWnA8

<イスラエル人への心理的被害:テロ被害地域の人々>

一見、見た目にはいつもの平和な様子が続くエルサレムだが、パレスチナ人のテロリストがエルサレム市内で、無差別にナイフでのテロに及んでいることで、イスラエル人たちの心に予想以上に、イスラエル人への心理的被害が広がっていることがわかった。

上記13才のユダヤ人少年は、コンビニを出たところでナイフで襲われていた。駆けつけたのはこの店の店員だった。この店は、その目の前で、13才と15才が自転車上の13才を殺すところを目の当たりにしたのである。

この店は、今も開店している。店主の男性が、その当時のことを少しだけ話してくれたが、その表情、その目には、彼が何か重いものを背負い込んだということが明らかに見てとれた。

この地域では、路面電車を待っていた人を刺したテロリストが治安部隊に射殺されるという事件も発生した。現場は、アパートのまどが一斉にそちらを向いている形になっている。ピスガット・ゼエブ区長によると、事件当時、多くの住民が事件を目撃したという。心理的ケアを必要としている人がいると言っていた。

バス78番で2人が殺害された南エルサレムのアルモン・ハナチーブ。現場すぐ前は、隣接するアラブ人地区ジャベル・ムカバへの入り口である。今回のテロに関わるテロリストの多くがこの町から出て来きて犯行に及んでいた。

そのため、治安部隊が大きなブロックをおいて閉鎖している。昨日現在だが、治安部隊は、ジャベル・ムカバへの出入りの道1本を残してすべての出入り道を遮断。開いている1本を検問所として、出入りする車や人をチェックしている。

ただし、閉じている道でも、兵士らは歩行者なら、IDをチェックして問題なければ出入りを赦しているようだった。

アルモン・ハナチーブには、人々の生活する道路のすぐ横に、こうした兵士の姿や、パレスチナ人が出入りする場所がある。すぐ隣なのだが、ジャベル。ムカバの雰囲気は、”そこから先は別世界”状態である。

友人の奥様で、アルモン・ハナチーブの幼稚園教師によると、幼児の出園率が50%になっているという。警備員が十分配置されていないため、万が一に備えて、子供を幼稚園や学校に行かせない親がいるのである。

テロ現場での記者会見では、テロ現場すぐ近くに住むダニーさん、7人の子供の父親が、「いつナイフで襲われるかわからない状態では生活できない。パレスチナ人は、こちらに入らせないようにするべきだ。」と列火のごとくに怒って訴えた。

一方、ジャベル・ムカバ在住のパレスチナ人、アワッドさんの話も聞いた。タクシー運転手であるアワッドさんは、治安部隊が、道を閉じているので、仕事中、自宅に戻ってトイレに行こうとしたが、通行できる道路まで迂回したら、1時間近くかかったと、こちらも列火のように怒って訴えた。

ダニーさんとアワッドさんが、途中から大きな声で言い争いを始めると、そのけんか声をききつけた若いパレスチナ人らが集まって来て、石を投げる気配になった。治安部隊があわてて2人をとめていた。

なお、アルモン・ハナチーブの公民館では、昨夜、柔道専門家による無料・自衛術の講習会があった。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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