本日人質3人解放:イスラエルはパレスチナ囚人183人釈放へ 2025.2.8

人質解放5回目:本日3人解放

トランプ大統領が、ガザ市民の移住案を表明したことで、ハマスが人質解放を渋るのではないかと、イスラエルでは緊張が高まっていたが、ハマスが金曜夜遅く、本日2月8日(土)朝(日本時間午後)に解放する人質3人の名前を提示した。

イスラエルは、今回、シリ・ビバスさんと2人の子供を解放するよう要求していたが、本日解放されるのは、イスラエル人市民男性3人。オハッド・ベン・アミさん(56)、エリ・シャラビさん(52)、オール・レビさん(34)

オハッドさんは、キブツ・べエリから妻ラズさんとともに拉致された。ラズさんは2023年11月に解放されている。妻と娘2人がオハッドさんの帰りを待っている。

エリさんもキブツ・べエリの住民である。エリさんの妻と娘たちは、隠れていたところをみつかってしまい、そこでハマスに殺害された。

エリさんと弟のヨッシさんは拉致され、ヨッシさんはその後殺害されたことがわかっている。遺体はまだガザにある。

オールさんは、妻のエイナブさんと音楽フェスに参加していたが、エイナブさんは殺され、オールさんだけ拉致されていた。(写真)オールさんはおそらく、エイナブさんの死をしらないと家族は言っている。

2人には息子アルモグ君(3)がおり、今は、祖父母が保護している。オールさんの母親のレヴィさんによると、アルモグ君が、父親が帰ってくると飛び跳ねているという。

www.timesofisrael.com/hostages-eli-sharabi-or-levy-and-ohad-ben-ami-slated-for-release-from-gaza-saturday/

2月8日(土)、ガザ中央のデイル・アル・バラで、3人の赤十字への引き渡しが行われている。

以下は、その中継。ステージには、「我々は洪水」「勝利の日」などと書かれている。完全勝利と言う字の前にはネタニヤフ首相の顔があしらわれている。

イスラエルは183人(終身刑18人)釈放へ

解放される人質3人に対し、イスラエルは、終身刑18人を含む183人を、西岸地区とガザ地区へと釈放することになっている。183人のうち、111人はガザで拘束した者たちなので、ガザへ送り返されるとのこと。

www.ynetnews.com/article/rjkmdxnt1x

第二段階への交渉はまだ開始されず

合意によると、イスラエルとハマスは、第一段階が始まってから16日目に第二段階に関する交渉を開始することとなっていた。

しかし、ネタニヤフ首相は、アメリカでトランプ大統領との会談を行う時期でもあったことから、代表団の派遣は、首相が帰国してからと述べ、これを延期とさせている。

その後、トランプ大統領との会談後すぐに帰るのかと思いきや、アメリカ政府要人などと会談を続けており、まだワシントンに滞在している。

第二段階では、ハマスは完全停戦を要求しているのに対し、ネタニヤフ首相はハマスを追い出すか殲滅するまで停戦は拒否しているという、大きな壁がある。トランプ大統領を味方につけたネタニヤフ首相が、強気になっているかもしれない。

第一段階で解放される予定の33人の中に入っていない60人の家族は、このまま合意は崩壊するのではないかと懸念している。

その一人が、日本にも来た、ノア・アルガマニさん。ボーイフレンドのアビナタン・オールさんが、第一段階の解放者のリストには入っていない。ノアさんは、現在、ワシントンにいて、第二段階への移行んついて、できる限りのことをしていると語っている。

www.timesofisrael.com/hostages-eli-sharabi-or-levy-and-ohad-ben-ami-slated-for-release-from-gaza-saturday/

石のひとりごと

解放と同時に、家族全員が待っている人、妻は殺され、息子だけ残っていると知らされる人、家族全員の死を知らされる人、喜びとどん底、本当に心はジェットコースターだ。

イスラエル人は、他者と比べてものごとを考えるということがあまりないことが救いかもしれない。神になぜ私だけが・・とくってかかるかもしれないが・・。

それにしても、ハマスの様子をみると、妙な音楽の中で、イスラエル人を立たせて勝利を叫んでいる。異様というか、何かに支配されている悪としかいいようがない。これは、抵抗運動などではない。

こんな組織が、今後ガザに居残って支配することを受け入れてもよしとする国連や世界諸国は、やはりおかしいとしかいいようがない。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。