イスラエルでは、17日の今朝7時から投票が始まった。18才以上の有権者は588万人。全国に11500カ所投票会場が設置されている。
有権者はそれぞれ住民票がある地域で指定された投票会場に行って投票する。ネタニヤフ首相夫妻、リブリン大統領夫妻はじめ、各党の党首らも、それぞれ朝一番に投票をすませた。地元紙によると、正午までの投票率は26.5%で、これまでの最高を記録した。
午前中に、近くの小学校に設置された登場会場に行ってみると、お年寄りや、子供連れの家族などが、投票に来ていた。入り口付近では、リクードやクラヌ党などの各党のポスターや小さなブースが並び、アルバイトと思われる学生たちが、投票に来る人々に最後のアピールを行っていた。
新党クラヌ(みんな)党のカフロン党首のTシャツを来て、サポーターとして立っていた青年に、「カフロン党首のどの点がいいのか」と聞くと、横からリクード(ネタニヤフ首相)のTシャツの若い女性が「正直にいったら!彼はネタニヤフがいいと思っているのよ」と、笑いながら大声で話に参加して来た。
イスラエルでは住宅価格だけでなく、物価が随分上がって生活にかかる費用が上がる一方である。カフロン氏は、以前、携帯の会社の競争をあおり、電話代を相当下げることに成功した人物。人気はあるのだが、やはり、治安問題をうまく扱えるのかといえば、未知数。。。
投票から出て来た男性に聞くと、やはりネタニヤフだと言っていた。以外にネタニヤフ支持は根強い傾向のようである。*最終の統計では、ネタニヤフ首相のリクードは1位の左シオニスト陣営に4議席下回る結果になっている。
選挙会場に出入りする高齢者などの間で「ハグ・サメアッハ」といった挨拶がされているので、選挙はハグ(祭り)なのかと聞くと、「ユダヤ人には長い間国がなかった。こうして国ができ、その指導者のための投票ができるというのは、本当に夢のような話です。」と答えた。
イスラエルは、領事館関係などの公職以外市民が海外で、投票することができない。そのため先週ぐらいから投票のためだけに帰国する人々の様子も報じられていた。イスラエル人にとって、選挙はやはり大事な行事なのである。
*投票の様子:http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4637591,00.html
なお、投票は午後10時で閉め切られ、明日朝までには正式な結果が発表される予定である。午後10時の時点で、出口調査の結果が出始めるので、テレビではその結果や、各党の選挙事務所の様子が生中継されることになる。
<各党最後の動き・アピール>
イスラエルでは、一党が政権を担うことはない。そのため、有権者は、投票しようとする党が、どこと連立を組むのかまでを計算して投票しなければならない。
選挙が近づくにつれて、各党の主張だけでなく、どの党と連立を組むつもりなのか、どこのオファーをどこが了承する動きにあるのか等の予想に集中しはじめていた。
テルアビブでは、先週末、左派勢力がテルアビブでラリーを行ったのに対し、今週日曜には、右派勢力がラリーを行った。そこでネタニヤフ首相は、自分が首相である間は、パレスチナ国家設立はない、などと右派にアピールする発言を行った。
ネタニヤフ首相と連立を組むと見られるのが、やはり右派のユダヤ人の家党のベネット党首である。彼を取り込むにあたり、ネタニヤフ首相は、左派勢力との連立はないと、右派左派合同政権はありえないと約束したということである。しかし、これも政治の世界なのでどうなるかは不明。
一方、左派勢力の”シオニスト陣営”では、投票前日になり、ヘルツォグ氏と共同出馬だったリブニ氏が、ヘルツォグ氏と2年づつのローテーションで首相になるという約束を破棄するという爆弾宣言を行った。
これにより、仮にヘルツォグ氏が最多数議席と獲得して、連立政権を組む事になった場合、シャスなどのユダヤ教政党と組む事が可能になる。(ユダヤ教系の政党は、女性のリブニ氏が首相になるという約束があるままでは連立を受け入れることは不可能)
また「ヘルツォグ氏はいいが、リブニ氏が2年後に首相になるというのがどうも・・」という人が少なくないため、リブニ氏が身を引く事で、シオニスト陣営では、さらなる投票もみこめるというねらいである。ヘルツォグ氏、リブニ氏は、これについて、「今はネタニヤフ首相を更迭することが最優先」との判断を語っている。
実際には、あまりにも接戦であるため、リブリン大統領がネタニヤフ首相を指名して、右派左派双方を含む統一政権をめざすのではないかという見方もある。
とにかくフタを開けてみるまで、結果がほとんど見えないというのが、今回の選挙のようである。イスラエルは人口900万人以下の小さな国だが、今日の選挙についてはBBCでもトップで報じられ、世界も注目しているようである。
*各党党首(ネタニヤフ首相以外)が最後のアピール。なぜか爪楊枝サイズのイスラエルの旗を持って写真におさまっている記事
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4637558,00.html