日々続いているガザ戦闘の実態:イスラエル兵また2人戦死 2025.5.11

Sgt. Yishai Elyakim Urbach (left), and Staff Sgt. Yam Frid (right)(Israel Defense Forces)

ラファでハマス2人降参:重要トンネル破壊成功

IDF

イスラエル軍は、ガザの南部、ラファの一掃作戦を続けており、5月9日(金)、ハマスの戦闘員2人が降参してきて出てきたため、身柄を拘束。

その2人が、ラファの最も重要な地下トンネルの情報を提供した。

このトンネルは12メートル地下にあり、キッチン、トイレ・浴室もある居住室で、そこから多数の地下トンネルへの入り口があった。イスラエル軍は、このトンネルを破壊した。

これにより、イスラエル軍はラファの制覇にかなり近づいたと見ている。

ラファでイスラエル兵2人死亡

in southern Gaza’s Rafah, in a handout photo issued on May 10, 2025. (Israel Defense Forces)

しかし、この大きな勝利の前日の8日(木)、ラファでの激しい戦闘で、イスラエル兵二人が死亡。複数地点で発生した戦闘で、少なくとも6人が負傷していた。

この日、死亡したのは、工兵戦闘部隊のイシャイ・エルヤキン・ウルバック軍曹(20)と、ヨム・フリード大尉(21)。これで、ガザ地上戦での戦死者は418人となった。

ハマスは、対戦車砲や銃撃を使って、イスラエル軍部隊と戦闘になっており、建物が倒れて、イスラエル兵が負傷したケースもある。

以下はアフジャジーラがユーチューブで流した映像。ハマスが、ラファで、入ってくるイスラエル兵を待ち伏せして攻撃する様子。クリップの始まりは、イスラエル軍に対して、「地獄の門」作戦の一環だと言っている。

これは、5月10日にアップされ、すでに100万人以上が視聴している。いわゆるプロパガンダの一環ではと疑ってしまうが、イスラエル兵が、日々直面しているのは、こういう敵たちである。

ガザ市での激戦:3日ほどで150カ所空爆

the Bureij refugee camp in the center of the Gaza Strip, on May 7, 2025. (Eyad BABA / AFP)

また、イスラエル軍は、ラファだけでなく、ガザ中央のガザ市でも先週水曜からの3日だけで、150か所を空爆。

ハマスなどテロ組織が使っていたインフラを破壊していた。

イスラエル軍によると、10月7日の虐殺に関わった2人の死亡を確認した他、ハマスは、この3日ほどの攻撃で200人が死亡したと言っている。(実際の数は未確認)

www.timesofisrael.com/idf-says-it-razed-major-tunnel-in-rafah-after-hamas-operatives-provided-location/

www.timesofisrael.com/two-idf-soldiers-killed-six-wounded-in-southern-gaza-fighting/

www.timesofisrael.com/hamas-run-authorities-say-at-least-48-killed-in-series-of-idf-strikes-in-gaza/

石のひとりごと

日本で、私たちは平和に過ごしているが、ガザでは今も日々、20歳前後の兵士たちが、戦争の中にいる。ハマスの恐ろしい、地獄の門作戦だと言っている様子に、霊的な暗闇と恐怖を感じない人はいないだろう。

このような中へ、まだ20歳そこそこの、イスラエルの若者たちが、日々入っている。空爆でできるだけ叩いてから陸軍が入るのだが、それでも待ち伏せや、仕掛け爆弾があり、いつどこから攻撃されるかわからないのである。一瞬でその命が奪われてしまう。これが戦争の現実である。

こうした中で、また笑顔の2人が、戦死した。この笑顔からは、これからどれだけの人生があったことだろうと思うと、まったく、やりきれない。

また、今日は母の日だが、この2人の母たちは、ここまで育てた息子たちを失った。その痛みは想像を絶するとしかいいようがない。

戦争がすぐに終わらないなら、休みなくとりなしが必要だと実感する。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。