戦争のツケは15億シェケル(約500億円)

www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4566118,00.html

イスラエル政府の試算によると、戦争からの回復と南部住民支援に必要な費用は15億シェケル(約500億円)。これを吸収するため、政府はすべての省庁で、むこう5年間、2%(19億シェケル)の予算削減をすることで可決した。

南部都市への支援はガザから7キロ圏内に限られることになった。つまり、多数のミサイル攻撃を受けたアシュドド、アシュケロン、ベエルシェバへは、特別の手当はない。

最も大きく削減されるのは教育費、次に社会福祉、健康保険となっている。防衛費については、戦争前には予算削減と言っていたのだが、戦後、逆に予算を増やす事になった。

ヤアロン国防相は、「実際の戦争出費は、計90億シェケル(2700億円)だった。迎撃ミサイルと諜報活動にかかる費用が主な出費だが、もしそれらがなかった場合の被害を考えれば決して不要な出費ではない。」と強調した。

*総戦費が90億シェケルに対し、政府の回復への想定学が15億シェケルとなっているが、これは、迎撃ミサイルの費用の大部分が、アメリカの支援でカバーされていたことを意味する。

今回の戦争について、ステイニッツ情報相は、BBCのインタビューに答えて、「イスラエルは、この先長期にわたる停戦を得たという点では、結果を得た。しかし、非常に高い代価を払う事になった。今回の戦争は、双方に痛みと悲惨をもたらしただけで、不要な戦争だった。」と、まとめている。 http://www.bbc.co.uk/programmes/p025ltrn

戦争の出費は大きな痛手だが、ラピード財務相は、シェケルは今も強く、投資も順調であること、9月、10月には新年祭や仮庵の祭りと、年間最大の観光のハイシーズンがあることをあげ、経済の回復に期待していると語っている。

<膨大すぎる。。。ガザ地区の戦争のツケ>

一方、ガザの破壊は当然15億シェケルどころではない。すでにカタールが出資を申し出ているが、国際社会は9月22日に、ガザ回復サミットを行い、どのようにガザ地区を回復させるか、地球規模で相談することになっている。

この回復への行程の中で大きな役割を担うのは、パレスチナ自治政府(PA)とみられる。しかし、アッバス議長はハマスを批判しながらも、ハマスとの統一政府を解消せず、ガザ地区の非武装については否定的である。

パレスチナ自治政府の中心人物の一人で、PLO時代からの大物ヤセル・ラボ氏は、「パレスチナ人がほしいのは、イスラエルの占領で失われている民族としての威厳だ。

イスラエルの占領が続く限り、ハマスがイスラエルへの闘争を考えてもしかたないことだ。」と語り、イスラエルへの武装闘争を完全に放棄することはできない、またその気もないことを明らかにしている。

これでは安心してPAにガザ地区のリハビリテーションを任せることはできないということである。

BBC Hard Talk ヤセル・ラボ氏インタビュー(かなりするどいインタビュー:おすすめ)
www.bbc.co.uk/programmes/p025v4v6

イスラエルのラピード財務相は、「エジプト、サウジアラビア、アラブ同盟とカルテット(欧米とロシア)とイスラエルで地域カンファレンスを先に開くべきであると提案する。

国際社会主導のカンファレンスでは、イスラエルが要求するガザ地区の非武装は考慮されないまま、ガザ回復プログラムがはじまってしまう可能性がある。」と指摘する。 www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/184622#.VAW51qW9BCs

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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