帰ってきた人質たち・500日以上ぶりに家族と再会:2人は10年以上ぶり帰国 2025.2.23

2月22日(土)、3回に分けて6人の人質男性が、イスラエルに戻り、500日以上ぶりに、それぞれ家族との再会を果たした。それぞれが、家族にガザでの経験を話している。

オメル・シェム・トーブさんは、最初の50日以外(約1年3ヶ月)は、ずっとトンネルの暗闇の中で1人だったという。体重は16-17キロ減っていたが、これで正常な心を維持できていたことは奇跡である。

IDF

この間に、テレビを見せられたオメルさんは、イスラエルの人々が、人質の解放を訴える様子に励まされ、ハマス殲滅を主張するネタニヤフ首相の様子に不安を覚えたと語っていたと家族。

解放された後、イスラエル軍のヘリコプターの中で、支え続けてくれたイスラエルの人々の感謝を表明し、家族には「ハンバーガーがほしい」と言っていたという。

エリヤ・コーヘンさんは、一人の時もあったが、多くの時を最近解放された、イーライ・シャラビさんら人質たち3人と一緒に、暗いトンネルの中に隔離されていた。エリヤさんは、拉致の際に足を撃たれて負傷していたが、適切な治療は受けていなかった。

エリヤさんによると、皆、手を鎖で繋がれ、何ヶ月も歩くどころか立てない状態に置かれたという。ハマスは彼らに食事を与えないだけでなく、その目の前で食事したという。また、切り傷を受けるなどの身体的虐待を受けていた。エリヤさんは、解放時に。婚約者で一緒に拉致されていたジブさんが、10月7日の虐殺を生き延びていたことを聞かされた。

オメル・ウインケルトさんは、自己免疫疾患大腸炎の既往がある人で、体重は、30キロ減っていた。オメルさんは、今回一緒に解放されたタル・ショハムさんと8ヶ月一緒に監禁されていた。

タルさんは、妻アディさんと子供2人ヤヘル(3)とナベ(8)、義理母、妻の叔母、その娘も人質となっていたが、タルさん以外は、全員これまでに解放されている。タルさんは、それを解放時に知らされた。

監禁者は、オメルさんとタルさんを飢餓状態に置いたが、解放前に、食糧を与えて太るようにさせたとのこと。

解放された6人の中には、10年以上、ハマスに拉致されたままだった2人、アベラ・メンギツさん(28)と、ヒシャム・アル・サイードさん(28)も含まれていた。

2人は、精神疾患の患者で、自らガザへ入り込んでしまい、そのまま、ハマスがガザに留め置いて、家族が求めても解放しなかったケースである。

アベラさんは、10年以上ぶりに解放され、家族と再会しても、表情は暗いままであった。ヒシャムさんも同様で、家族は、「感情的にも認知的にも破壊されている」と語っている。

www.timesofisrael.com/hostages-were-chained-starved-kept-in-pitch-black-some-return-almost-unresponsive/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。