国際社会説得に走るケリー国務長官 2013.9.9

アメリカはG20サミットで、シリア攻撃に関して、国際社会の同意を得ることができなかった。かといって、シリア攻撃を中止するという選択の余地はない。アメリカの権威だけでなく、国際社会のルールも意味を失うことになるからだ。

8日、アメリカはメディアを通して、新たに悲惨なシリアの化学兵器犠牲者のビデオを公開。議会での承認が得られるよう、根回しが続けられている。一方、ケリー国務長官は、パリ、ロンドンへと駆け回り、ヨーロッパ、親米アラブ諸国へ最後の説得を続けている。

ケリー氏は、「アメリカは攻撃によって、シリアの内戦自体を解決しようと考えているのではない。内戦は武力では解決しない。」と強調。

「今回のシリア攻撃は、化学兵器使用禁止という世界のルールを守るためである。今、もしシリアの化学兵器使用を放置した場合のリスクは、今軍事介入するリスクよりも大きい。」と熱弁している。

アメリカ国内では、議会のシリア攻撃承認に関する採択が予定されているが、それに先立ち、オバマ大統領が10日、テレビから国民にシリア攻撃の必要性を訴えることになっている。

<ロシアも動いている>

ケリー国務長官が、説得に回る中、ロシアのプーチン大統領もアメリカの軍事行動を阻止しようと、ヨーロッパで根回しをしている。

また、今日9日、シリア、イラン、ロシアが、外向的な解決を目指した提案を検討することになっている。イランとアラブメディアによると、シリアの外相が、民主的な権力の移行プランが提出されるというが、内容はまだ不明。

またシリアが化学兵器をロシアか第三国にすべて移行させるという計画も話し合われるという。しかし、アサド大統領の態度は変わらず、またアメリカの攻撃数日前になってのこの動きなので、大きな期待はよせられていない。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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