ネタニヤフ首相は、来週、渡米して、バイデン大統領と会談し、24日には、アメリカの議会で演説することになっている。元人質のノア・アルガマニさんが同行と報じられている。
そのぎりぎりになって、バイデン大統領がコロナ陽性となり、デラウエア州での療養に入ることになった。
ネタニヤフ首相との会談など、どうなるのかは、まだ明確にはなっていない。
イスラエルとアメリカは今、微妙な食い違いの様相にある。ネタニヤフ首相は、ハマスとの交渉においては、アメリカの停戦案に合意していると言っている。
しかし、同時に、今、ガザ地区では、アメリカの意向に反して、ガザで大胆な攻撃を続けており、死傷者も相次いでいる。
また、アメリカは地域の恒久的な平穏のためには、パレスチナ人の国を設立することが不可欠と主張している。そうなれば、イスラエルとサウジアラビアの国交開始も可能になると、イスラエルに熱心に推しているところである。
しかし、これについて、17日、イスラエルの国会は、このアメリカの案を受け入れるかどうかの審議を行い、圧倒的多数で拒否するという現状をつきつけた。
この時、政府に反旗を翻したガンツ氏やエイセンコット氏も、与党とともに反対票を投じた他、左派系で二国家共存を支持しているはずの野党代表、ヤイル・ラピード氏の未来がある党の議員たちは国会から退席して棄権。
賛成票を投じたのは、アラブ系政党の議員だけだった。
イスラエル国会は、否決の説明として、以下のように報告している。
「ヨルダン川西岸というイスラエルの中心部にパレスチナ国家を設立することは、イスラエルの存続の危機になる。イスラエルとパレスチナの紛争は永続し、地域は安定化しないだろう。
ハマスがパレスチナ国家を乗っ取って、そこをテロ拠点に変え、イラン枢軸と連携して、イスラエル排斥へと動き出すのは時間の問題である。
今、このタイミングで、パレスチナ国家を設立すれば、ハマス支援者が、10月7日の虐殺で勝ち取った勝利だと考えるだろう。テロを奨励するようなもので、今後、中東で聖戦主義者たちが台頭することになる。」
多くの点で分裂しているイスラエルだが、この点については一致しているということである。
しかし、ネタニヤフ首相が、アメリカへ向かう直前に、民主党バイデン政権には、めんどうなことになった形である。
バイデン大統領への退陣の圧力は、コロナ陽性になってから、さらに高まっている。ネタニヤフ首相という困難事例と関わっている場合ではないかもしれない。
来週のネタニヤフ首相渡米、どうなるのか、注目される。