入植地建築許可で和平交渉・微妙 2013.8.9

和平交渉2回目は来週14日、イスラエルで、続いて1週間後にエリコで予定されているが、少々微妙な雲行きになっている。

イスラエルは、今週初頭、国の補助を受ける「国家優先地区」に決まった600の認定市、町などを発表した。その中には、西岸地区の91入植地が含まれる。無許可の前哨地だったところが、入植地扱いとなり、優先地区に認定されているところもあった。

さらに昨日、西岸地区の入植地約1000軒分の建築許可を出した。このうち、実際の建築許可は147軒で、約950軒は、国防省が許可を出すという、いわば予備許可である。つまり、実際の建築までにはまだ多数の段階が残されているということ。

これらに対し、パレスチナ自治政府のエレカット交渉担当は、アメリカに対し、イスラエルには譲歩する意志がないとして不満を訴えている。アメリカも、和平交渉の障害になるとして懸念を表明している。

<たまたま今になっただけ?建築許可>

昨日紹介したゴールドスミス夫妻のイタマルでは、これより前に建築許可がおりて、すでに土地のボーリングが始まっている。

イスラエルでは、こうした建築許可は、一日で急に下りるのではなく、様々な段階を経て、様々な省庁から許可を得なければならない。イタマルでも実際の建築までには15年かかったという。

従って、今回の許可も、今に始まったことではなく、長い経過の中で、ちょうど今許可が下りる運びになったということなのである。しかも950軒はまだ国防省の段階でまだまだ先は長い。

また、先の国の国家認定地区の補助だが、逆に認定を却下され、これから国の補助を受けられなくなった入植地もある。

ベイタール・イリットは、西岸地区(1967年ラインよりパレスチナ側)にあるユダヤ教正統派の入植地。今回、認定をはずされたため、国の社会保障を受けられなくなった。住民らは、政府は正統派に厳しすぎると不満をぶつけているところである.

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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