仮庵の祭り・前日準備 2013.9.19

9月18日、仮庵の祭りが始まった。18日、エルサレムのオープンマーケット、マハネイ・ヤフダは祭りの準備で大忙しだった。

仮庵といえば、レビ記23:40で命じられた4種の”神器”、美しい木の実(エトログ-レモンの大きいような柑橘類)、なつめやしの葉(ルラブ-葉とはいえ、せんすのように閉じて棒状になっている)、茂り合った木の大枝、川縁の柳。

これらは、日本のお正月でいえば、しめ飾りのような、この時期、”一家に一つ”的な必需グッズである。この他、仮庵の中を飾るカラフルな飾りも店に並んでいる。

これらの販売のため、マハネイ・ヤフダでは、巨大なテントの特設会場が設置されていた。これら4種のもの、特にエトログは、色や大きさなどぴんきりで、高いものは目が飛び出るほと、どこまでも高くなる。しかし、一般人が買い求めるものは、全部セットでだいたい60シェケル(2000円程度)。

しかし、最終日になると、もう売ってしまわなければならないと、廉価が始まり、最終的にはセットで30シェケルにまで下がった。夕方4時近くになると、「もってけどろぼう」的な、たたき売り状態になっていた。

<子どもも大人もカオス状態でも平気>

夕方近くには意外に超正統派の人々がやってきて、買い物をしていた。この時間なら、よいものが安く買えるからであろう。またこの時間、目立ったのは10才以下ぐらいの正統派ユダヤ人子どもたち。大人にまじって大声で売っていた。大人の手伝いをしているのか、雇われているのか、実にたくましい。

正統派の白ひげの豊かなおじいさんが「おい、子ども。これはいくらだ?」と普通に商談していた。その横で、テントの取り下ろし作業は始まっている。日没までに商売の人たちも家に帰らなければならない。お客への配慮など全くないのがイスラエルだ。

たたき売りの声、子どもの声、テントのとりおろし作業、まだ商売している人、それをとりかこむ人々、そこら中にちらばる空き箱やゴミ、大勢の人がまったくなんのオーダーもなくあちこちしている様子は、これぞ「カオス」状態だった。その喧噪の中でも、超正統派たちは沈着冷静に、商品に傷がないかをじっくり確かめながら買い物をしていた。

この後日没になると、あちこちの家の庭や、ベランダに作られた仮庵にあかりがともり、中で食事する声、大声で歌っている家など、ほのぼのした光景となっていた。

<仮庵の意味>

つい5日前のヨム・キプールには嘆きの壁で泣いていたユダヤ人だが、仮庵では「まったき喜び」でなければならない1週間となる。人々は仮庵の中に家族、友人を招いて食事する。そこで寝泊まりする人もいる。これから毎日、仮庵の中で、賛美の歌が捧げられる。

屋根はすけて星が見えるようにし、テントの一面はあけておくことになっている。昔、イスラエル人がそまつなテントだけで、荒野をさまよっていた間、自己防衛できない彼らを、神が守ってくださったことを覚える。

テントが結婚式のフッパにも見えることから、主とイスラエル民族の、親密な関係を意味するとも言われる。仮庵では、何よりも、天地創造の神が共におられることを喜ぶのである。

<仮庵の預言的意味>

ユダヤ人たちは、仮庵の時に、今は神殿がないが、メシアが来て立て直す時が来るということに思いをはせるという。

新約聖書によれば、仮庵は、救われて主を心に迎え入れた時に、その人自身が神殿になると教える。またイエスが再臨されて実現する千年王国、そしてその後に来る新しいエルサレムを現しているとも考えられている。(黙示録21:1-4)つまり、クリスチャンにとってもこれ以上の喜びはない時となる。

エルサレムでは今年も国際クリスチャン・エンバシー(ICFJ)が、仮庵のフェスティバルを20日から始める。世界万国からくる5000人が集まってくる。(ゼカリヤ14:16)カラフルな万国旗を掲げてのエルサレム・パレードは24日。

*ICEJは、ユダヤ人の移住を中心に、最も古くからイスラエルを支援してきたクリスチャン団体。世界70カ国に支部があり、現在、世界最大のクリスチャン・シオニストの団体である。イスラエル政府に対し、政治的影響力もある。集会には、事情が許す限り、歴代首相や、エルサレム市長もあいさつに来ている。

<ネタニヤフ首相の第4回聖書研究会>

ベングリオン初代首相から始まった首相官邸での聖書勉強会。途中でとぎれていたのをネタニヤフ首相が昨年から再開。ラビや神学者を首相官邸に招いて、数ヶ月おきに勉強会を行っている。

仮庵の前日17日には、第4回となる聖書勉強会が行われた。この日の学びは申命記33,34章。ネタニヤフ首相、サラ夫人とチーフラビが共に、農耕暦1年の始まりとなる仮庵の学びとお祝いを行った。

*この勉強会に、メシアニック・ジューは含まれていないので旧約聖書のみの学びであることに注意。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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