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ガザへの攻撃継続中:48時間で100人以上死亡とハマス
カタールのドーハで、人質解放の関する交渉が始まっている中、イスラエルは、ガザのハマス関連地点への激しい攻撃を続けている。
5月15日朝の時点からその前の48時間の間に、攻撃した地点は、ロケット弾発射地や、あらゆる拠点、関係インフラなど130か所以上で、ハマス保健省によると、死亡者は115人(戦闘員と民間人区別なし)となった。
イスラエルは攻撃前にビラを撒くなどして、市民への被害を最小限にしようとしているもようである。
さらに地上部隊もガザ内部に入っており、ハマス資金調達責任者ジャセル・フセイン・アリ・シャミエ含む指導者など数名の暗殺も実施したとのこと。
今でも十分本格的な攻撃だが、イスラエル軍は、これより遥かに大規模な、ガザへの一掃攻撃の準備を行なっている。
トランプ大統領の中東歴訪が終る予定の本日金曜日までに、人質全員開放が実現しない場合、今よりも大規模な本格公的を開始する予定とのこと。
なお、16日(金)午後3時(日本時間)過ぎから、イスラエル軍がすでに、ガザ北部ベイト・ラヒヤへの激しい攻撃を開始しているとのニュースが入っている。
*イスラエル兵の5人に1人は女性兵士
激しい戦闘に迫られているイスラエル軍だが、イスラエル軍によると、この10年の間に、女性で従軍する人が13.7%から20%に増加した。
ガザで戦っているイスラエル兵の、実に5人に1人は女性兵士である。
さすがに戦闘部隊への任命はまだ少ないが、女性が活躍できる分野も、かつては58%だったのが、90%にまで拡大している。戦闘機のパイロットにも女性が含まれている。議会では、体力的なことだけでなく、宗教的にも物議になっている。
www.ynetnews.com/article/ryk15009xeg
ドーハでの交渉の現状は?
5月12日(月)に、米国籍の人質、エダン・アレキサンダーさんがガザから開放された後、ハマスとイスラエルの人質開放に関する関節交渉がカタールの首都ドーハで、5月14日(水)から始まっている。
カタール、エジプト、アメリカからはウィトコフ特使が、仲介にあたっている。ネタニヤフ首相は、まず人質10人を開放するなら、約45日の停戦を受け入れるとしている。
またこの間に、恒久的な停戦に向けた話し合いに応じる用意があるとは言っているが、かならずしもそれが実現するとは約束できないとも言っている。
ハマスはこれを拒否した。ハマスは、「この案は、もともとハマスがすでに1月に出したのに、それを拒否したのは、ネタニヤフ首相だった。その後、イスラエルは、激しい攻撃を再開した。イスラエルは話し合いに応じる気がない。
ネタニヤフ首相に、戦争を終わらせる気はなく、人質の事にも気にとめていない。」と反発している。
このため、ウィトコフ特使ら仲介者は、解放する人質の数を減らし、停戦は数週間にとどめるという、妥協案を双方に出しているとのことだが、両者の間は、まだかなり遠い。
先日、イスラエルでは、ガザでハマスの最高指導者と目される、モハンマド・シンワルを暗殺した可能性から、もし本当に死んでいたら、交渉が有利に進むとの期待感が高まっていた。しかし、いまだにシンワルが死亡した証拠が得られておらず、この期待が薄れる方向にあるとのこと。
カタールの首相は、今週、イスラエルのガザへの攻撃で、合意にいたる可能性はかなり遠のいたとCNNに語っている。
交渉における、もう一つの大きな不一致は、ガザの戦後どうするかという問題である。ハマスはすでに、ガザの統治権をアラブ5カ国に明け渡すことで合意している。アラブ5カ国は、これが実現すれば、ガザにハマスは残っていたとしても、非武装化できると主張している。
しかし、ここでの問題は、パレスチナ自治政府の介入である。アラブ5カ国は、パレスチナ自治政府を、最終的なガザの統治者にして、パレスチナ国家にするビジョンである。イスラエルはこれに合意していない。
ウィトコフ特使は、このアラブ諸国案におおむね合意はしているが、決めるのは、イスラエルであり、アメリカではないと述べ、これを受け入れないイスラエルを非難することはしていない。
トランプ大統領:アメリカがガザを支配してガザを自由にする
解決が見えないガザ情勢だが、トランプ大統領は、5月15日、サウジアラビア訪問を終えて、まさに交渉が行われている、カタールに移動した。そこで、ビジネス関係者との会談に望んでいる。
ガザに関する交渉に参加してはいないが、トランプ大統領は、「10月7日の事件では、5000人以上のテロリストが、イスラエルになだれ込み、ほとんどが市民の1200人が虐殺された。
これは、世界史の中で、また中東に限らず、全世界の中で、最悪の出来事だった」とコメント。
ハマスには、“going to have to be dealt with.”このツケを払わせなければならないと述べた。
また、ガザ地区には、ビルが一つも残ってない。死と破壊の地になっているとして、アメリカがこの地を“取って”、“フリーゾーン”にすると述べた。過去に、ガザを“リビエラ”、リゾート地にすると言っていた通りである。
トランプ大統領は、「我々は、ハマス、イラン、フーシ派と取り組んでいるが、うまくいっている」とも述べた。愛からわず、トランプ大統領のコメントには、具体的なことはほとんど見えてこないのだが。。
石のひとりごと
結論としては、この週末から、イスラエルによる、ガザへの大規模な攻撃が始まる可能性が高いといえるだろう。ガザで大勢の死者、特に市民たちの命が守られるように祈ることは、パレスチナ人のためだけでなく、イスラエルのためでもあるといえる。