世界は変わる:イスラエル投資 OurCrowd /ジョナサン・メドベド氏 2020.4.27

ジョナサン・メドベド氏 出展:CBNNews

世界は変わる:投資の歴史的チャンス

新型コロナによる疫病に勝利し、世界が崩壊から守られるために必要なことは次の3点である。①早く簡易で正確な結果を出す検査、②有効なワクチン ③有効な治療薬 これらができれば、麻痺した社会を解放できる。もはや一刻の猶予もない。

日本を含め、世界各国の研究機関がこれにむかって全力で研究をすすめているが、費用がかかる。人類が未曾有の危機にある中、ビル・ゲイツなどの慈善家たちが、これらの研究に大金を投じて、解決を急いでいる。イスラエルでも、研究者と投資家を結んで解決に奔走する人々がいる。

エルサレムを基盤にする投資組織で、急速に成長中のOurCrowd CEO、ジョナサン・メドベド氏が、エルサレム・プレス・クラブのインタビューに応じた。

イスラエルは、特に危機管理に強いのだが、新型コロナ危機おいても、様々な検査方法、人工呼吸器の開発をはじめ、ワクチンの開発もすすんでいる。それらの企業と投資家をつなぐのが、OurCrowdの役割である。

OurCrowdは、ネットを使って、世界183カ国、4万1000人の投資家と、イスラエルの投資会社200社、スタートアップ社1万社、20の基金をつなぐ組織で、その総投資額は、14億ドル(約1500億円)にのぼる。

メドベド氏によると、投資の10−20%はイスラエル国内からの投資。50%はアメリカからで、残りは外国からの投資だという。

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メドベド氏によると、投資家たちは、今の新型コロナが最後の疫病とはみていないという。研究者も、それへの投資家も、今の新型コロナを撃退するだけでなく、次の疫病にどう対処をするかを見ている。

技術開発が急速に早まる中、国や公的機関の監視、許可の体制について、新技術が失敗して人々を傷つける結果にならないよう、監視・許可のシステムは大切だと認める。しかし、多くの人が死亡している昨今、世界は、新技技術許可が早くなっていると語る。

メドベド氏は、コロナ前と後の世界は全く違っていると予測する。単に医療システムが、デジタル医療になるだけでなく、テレワークや、エクササイズまで、会社ではなく家で行うようになっている。これらは、コロナ前から始まってはいたが、今はそれが当たり前になった。

たとえば、テレワークが意外に有益だということを察知した会社は、コロナ危機が終わっても、継続していくだろう。このように、社会は前と同じにはならない。

メドベド氏は、これまで移動方法など、多くのこれまで当たり前と思っていたことが、失われたと指摘。多くの人々は、まだ気がついてないが、生活への変化はかなり大きく、たとえ、短期でワクチンが出来てコロナ危機から脱したとしても、前と同じ社会には戻れないと語る。

しかし、社会が変化をとげるためには、膨大な時間と、膨大な技術開発が求められて、イスラエルが、大きな役割を果たすだろう。投資家たちも、当初、新型コロナの恐怖におののいていたが、今は戦闘モードになりはじめている。

この社会の変化が、今、歴史的な投資へのチャンスになりうるとメドベド氏は語る。

ワクチン開発の希望:MigVaxheへ1200万ドル

OurCrowdは、先週、ミグワックスというワクチン開発の研究に、1200万ドル(12億円)の投資を決めた。

この会社では、過去4年の間、鶏の風邪に対処するワクチンの研究を行っていた。最近になって、鶏へのワクチン開発に成功したところである。ここで扱っていたウイルスが、コロナウイルスと同種であったので、今、人にも応用できないかとの研究に入っている。

メドベド氏によると、人間への実験は、この夏にも開始できると見ている。*新型コロナワクチン(注射型)の人体実験は、すでにイギリスで始まっている。

このワクチンに投資が高まっているのは、これが、静注ではなく、内服でいけるという点。これは、十分な医療も、冷蔵庫もない後進国では特に重要な点である。この研究成果は、全地球への益になりうると期待できる。

また、このワクチンを製造するにあたり、ウイルスそのもの(生きているか死体か)を必要としないという点。バクテリアから、そう複雑でない方法で、製造できるという。

また、新型コロナ・ウイルスは、すでに36回の変異をしているともいわれ、免疫作用も様々な段階がある。このため、投資についても、プラットフォーム戦略で、投資が行なわれている。したがって、実に様々な投資の可能性が広がっているという。

このワクチン開発については、研究者、投資家、そして世界全体にも益をもたらす事業になるとメドベド氏は語る。とはいえ、コロナウイルスが、あまりにも狡猾で、恐ろしい敵なので、開発がたやすくない、だからこそ、成功に期待するとも言っている。

新型コロナ危機関連:OurCrowdを通して投資が進んでいる企業

①Sight:血液2滴、10分で、血液検査を完了する。シェバホスピタルでは、コロナ患者の血液を中央検査室を通さずに検査できている。

②PulmOne: 小型の肺機能検査危機開発。病院外でも、肺機能が検査でき、コロナ肺炎診断に役立つ

③Tito Care:小型診断器。遠隔で、医師の手となり、診断できる。

④Crayon:新型コロナ関連の検査結果をAIが分析し、保健省につなぐ。人間であれば1−2ヶ月かかる作業を48時間で終わらせる。

⑤MeMed: AIで無症状のコロナ感染者を割り出し、隔離を可能にする。感染のスピートを著しく下げる。

⑥Vocal Zoom:大勢の人々の中から熱とその他の症状がある人を割り出す。空港などで有益。

⑦TecSee: 病室で、医療従事者の手足となって患者の観察や機器の操作を行うシステム。呼吸器など遠隔医療を可能にする。

⑧CyberMDX:医療機関、医療危機をサイバー攻撃から守るシステム(先週2000万ドルの投資あり)

⑨Sense: 遠隔教育のシステム

以上はワクチンと、技術関連だが、メドベド氏によると、治療薬として、ユタ州立大学で、鼻腔に噴霧するタイプの治療薬が有効との報告があり、そこへの投資も始まっているとのこと。

興味ある方は、次のサイトでどうぞ。 https://www.ourcrowd.com

石のひとりごと

何年か前に、メドベド氏をインタビューしたことがある。メドベド氏は日本について、次のように語った。「日本はイスラエルへの投資という点では、世界に遅れをとっているが、日本は、”スリーピング・ジャイアンツ(眠れる巨人)”だと思っている。今その巨人が起き始めている」と、日本からの投資に期待を語っていた。

石堂ゆみ

石堂ゆみ

ジャーナリスト、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイド、イスラエル政府公認ガイドとして活動しています。 イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて18年。学校・企業・教会などで講演して15年になります。