ゼレンスキー大統領とトランプ大統領決裂後の動き
3月1日、ウクライナの鉱物資源の権益をめぐって、トランプ大統領とゼレンスキー大統領がホワイトハウスで会談した際、口論になり、決別になった。その直後から、アメリカはウクライナへの武器支援を一時停止。続いて、機密情報の共有も停止した。
1)ヨーロッパがウクライナ防衛に動き出す
これを受けて、ヨーロッパは、2日、イギリスとフランスが中心となり、ウクライナを軍事的にも支えるとして、融資連合の立ち上げを発表した。
イギリスは、3030億円規模でミサイルをウクライナへ供給すると発表。フランスは戦闘機を供与。ポーランドは、全成人男性への軍事訓練を義務化すると発表した。
さらに6日には、EU理事会が緊急防衛サミットを開催し、「ヨーロッパも自衛しなければならない」として、8000億ユーロ(128兆円)規模の防衛計画を提案した。これには、トルコも平和維持活動の一端を担ってもよいと示唆していた。
www.bbc.com/japanese/articles/cz03yv4eg57o
2)ロシアのウクライナ攻撃激化
するとロシアは、急速にウクライナへの攻撃を激化。3月7日には、ドネツク州ドブロピリャへ弾道ミサイル2発が住宅8棟とショッピングセンターに着弾。子供6人を含む13人が死亡。40人が負傷した。
その後もドネツク州への攻撃が続いて9人が死亡。13人が負傷。ハリキウ州でもドローンによる攻撃があり、3人が死亡。7人が負傷した。この週末だけで、25人が死亡。加えて、オデーサでは、エネルギーのインフラがドローン攻撃を受けていた。
www.bbc.com/japanese/articles/cz03yv4eg57o
ウクライナ軍が越境して、占拠していたロシアのクルスク州では、ロシアが奪回を進めている。武器も情報も少ないせいか、ウクライナ軍が劣勢になっている。ロシア軍は、クルスク州の国境沿いのウクライナ側スジャへも侵入したとの情報もある。
www.cnn.co.jp/world/35230270.html
ウクライナ軍は、各地で苦戦し、フランスから供与されたばかりの戦闘機ミラージュ2000を使って、長距離巡航ミサイルを迎撃した。対ロシア戦争で、フランスの戦闘機が出撃したことで世界に緊張が走った。
news.yahoo.co.jp/expert/articles/99e610408a8664db0ef7c0586e514e2f9d25f333
こうした中で、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ウクライナを守るためには、アメリカの支援が必須であることを認めているようで、停戦への意欲があることをアメリカに伝え、関係修復に意欲を表明した。
その後、3月11日(火)ゼレンスキー大統領がサウジアラビアのジッダで、ビン・サルマン皇太子と会談。
www3.nhk.or.jp/news/html/20250311/k10014746441000.html
3)ゼレンスキー大統領がアメリカの30日停戦案に合意:ボールはロシアに
同日、ウクライナのイェルマーク大統領府長官、シビハ外相と、アメリカのルビオ国務長官、ウォルツ大統領補佐官が、同じくジッダで会談を行った。
8時間に及ぶ協議の結果、ウクライナは、30日の暫定停戦を含むアメリカ案を受け入れると発表した。これを受けて、アメリカは直ちに、武器支援と情報提供を再開。
ロシアにも、この件を伝え、ロシアも合意することを期待すると発表した。もしロシアも合意した場合、停戦は直ちに発効するとのこと。
これを受けて、トランプ大統領は今週中にもプーチン大統領との会談を期待すると言っている。またゼレンスキー大統領が、トランプ大統領に感謝を表明したことを受け、再度ホワイトハウスに招く可能性も表明した。
ルビオ国務長官は、今やボールはロシアにある(停戦にならなかった場合は、ロシアの責任)と述べた。
jp.reuters.com/world/ukraine/GL3NNDLXAJKRDNUAEACLDIAHLY-2025-03-11/