ロシアの攻撃でオデッサでも1人死亡:イスラエルのアメリカ製パトリオット2基をウクライナに配備へ 2025.5.6

In this image released by the US Department of Defense, German soldiers fire the Patriot weapons system at the NATO Missile Firing Installation, in Chania, Greece, on November 8, 2017. (Sebastian Apel/US Department of Defense, via AP, File)

ロシアのウクライナ攻撃続く

ロシアは、ウクライナへのミサイルやドローンによる攻撃を今も休みなく続けている。

5月5日から6日にかけて、ロシア軍は、ミサイル23発、ドローン109機を、ウクライナ各地に向けて発射し、キーフでは11人が負傷。船越宣教師がいるオデッサでも1人が死亡した。

一方、ウクライナも、ロシア領内での攻撃を継続していると発表。モスクワでは、ウクライナのドローンが少なくとも19機を迎撃したが、首都の4つの空港は一時閉鎖しているとのこと。

この4月には、ロシアからは、復活祭に3日間の停戦案が出たが、実際にはロシアの攻撃は止まっていなかった。今も攻撃の応酬に終わる気配はない。

www.bbc.com/news/articles/c20xqdn04g3o

アメリカ製パトリオットがイスラエルからウクライナへ

ウクライナは、現在迎撃ミサイル・パトリオットを8基配備しているが、全然足りておらず、これまでからも、国際社会にその供給を求め続けていた。

特にイスラエルにそのことを要請していたが、イスラエルは、中東において、特にシリアで、ロシアに攻撃を黙認してもらう必要があることから、これまでのところ、この要請には応じることができていなかった。

こうした中、NYTが、4人の現・元アメリカ当局者の情報として伝えたところによると、今、イスラエルに配備されている、アメリカ製のパトリオット迎撃ミサイル2基が、ウクライナに送られることになったとのこと。

前バイデン政権の時に実施される予定だったが、まだ実施されていなかった案件だという。しかし、ウクライナに送られるパトリオットは旧式であるため、改良が必要で、実際にウクライナに配備されるのは、夏ぐらいになるとみられている。

なお、アメリカは、イスラエルだけでなく、ドイツかギリシャに配備しているパトリオットをウクライナに送ることも検討しているとのこと。

イスラエルは、ウクライナにパトリオットを送った後は、より最新の迎撃ミサイルを配備する。要するにお古をウクライナに送るという感じである。

www.timesofisrael.com/patriot-air-defense-system-based-in-israel-to-be-refurbished-sent-to-ukraine-nyt/

アメリカはウクライナを背負う?鉱物資源投資で合意

アメリカは、前バイデン政権の時代から、強力にウクライナへの軍事支援を行っている。これまで(2024年12月まで)の総額は、1192億ドル(約17兆円)にのぼっている。

これは全世界のウクライナ支援額の40%以上になっており、いわば、アメリカが支援しているから、ウクライナは持ち堪えているといえる。

トランプ大統領としては、戦争で人が死んでいるだけでなく、アメリカにこれほどの出費を強いているこの戦争は、ともかくもやめてもらいたいのである。このため、ロシアにかなり譲歩してでも、ウクライナに抵抗をやめさせようとした動きもあった。

また、ウクライナにある鉱物資源という財産に出資することで、両国にとっても有益になることを考えていたようである。

トランプ大統領とゼレンスキー大統領は、4月30日に、鉱物資源協定に署名。アメリカが、ウクライナ国内の重要な鉱物資源の発掘プロジェクトに共同出資することで、権益を得ることになった。

BBCの解説によると、この合意では、最初の10年は、収益はすべて、ウクライナの防衛と復興にあてられる。アメリカはその後に収益を得るようになる。

この案は2月の時点で、アメリカが提示する予定だったが、トランプ大統領とゼレンスキー大統領がケンカ分かれになったので、保留となっていたものだという。

今回、合意に至ったのは、両国がそれぞれ譲歩したためである。アメリカは、これまでに行った軍事支援の返済を求めたことを撤回。ウクライナは、アメリカに安全保障を求めていたが、これは含まない形での合意であった。

ウクライナの鉱物資源は、全国にあるので、そこにアメリカがいることになれば、ロシアが攻撃しにくくなるのではとの見方もある。

しかし、ロシアとウクライナの攻撃の応酬は、その後も変わらず続いている。まずは、パトリオットの配備が急がれるところである。

www.bbc.com/japanese/articles/cnv5lrjnzm8o

www.nytimes.com/2025/05/01/world/europe/ukraine-trump-minerals-deal.html

オデッサにいる船越宣教師からの便り:最終5月2日分

船越宣教師より

今回、オデッサでもロシアの攻撃で1人の死者が出たとのことだが、その2日ほど前に、船越宣教師から以下のような報告が届いていた。

これからも船越宣教師やその周囲にいるビリーバーたち、兵役に出ている人たち、ウクライナ全域を覚えて、とりなしが必要である。

いつもお祈り、ありがとうございます。 今日は5月2日です。2014年、クリミア占領が起こり、ドンバス戦争が始まった年、ロシアはオデッサでも「親ロシア派」を支援して「オデッサ人民共和国」を樹立しようとしていました。

その流れの中で同年5月2日、「親ロシア派」グループと「反ロシア派」グループが激しく衝突し、40名以上の「親ロシア派」活動家たちがオデッサで亡くなる事件が起こりました。

それ以来、プーチン氏は「オデッサをロシアの街として奪還すべきである」という主張をするたびにこの事件に言及し続けてきました。今日はその5月2日です。

したがって、今日、ロシアによるオデッサへの大規模な攻撃が行われることが強く懸念されています。どうか、守られるように覚えてお祈りいただければ感謝です。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。