イスラエルは、レバノンとの停戦60日が終了した後、3週間延長したが、それも終わって、2月18日には、南レバノンから軍を撤退させた。
しかし、国境のレバノン側5か所を戦略的前哨地点として、監視の軍を駐留させている。
南レバノンは、レバノン軍が駐留し、最大30キロ北のリタニ川より南部にヒズボラの武器やその拠点を作らないように監視するというのが約束である。
実際のところ、ヒズボラは、ナスララ党首を失い、ポケベル爆発の件で、その指導者の多くを失っている。またイランもシリアへのアクセスを失ったことで、ヒズボラへの武器補給がかなり難しくなっている。
しかし、ヒズボラがいなくなったわけではない。まだ指導者レベルの高官は残っている。イランが、普通の旅客機にスーツケースに武器を入れて、ヒズボラに補給しようとしたこともあった。2月23日のナスララ党首の葬儀には、大群衆が、ヒズボラの旗を振りながら、参列していた。
イスラエルは、2月中に、武器を搬入しようとしていたヒズボラ幹部をドローンで暗殺していたが、先週3月4日(火)には、レバノンの港湾都市タイヤで、ヒズボラの海軍司令官ハイダル・ハシェムをドローンで暗殺した。
ハシェムは、海上からの武器支援を搬入することや、イスラエルでのテロも計画していたとイスラエル軍は主張している。
www.timesofisrael.com/hezbollah-operative-said-killed-in-alleged-israeli-strike-in-southern-lebanon/
また、その3日後の7日(金)には、南レバノンにあったヒズボラの武器庫を空爆した。停戦後始めてのレバノン領内への空爆である。レバノン軍が見落としていたか無視していたため、イスラエルが、空爆したということになる。
この状態で、イスラエルは、まだ完全にレバノン軍に、ヒズボラの管理を委ね切ることはできないといえる。
また一方で、イスラエルからの問題も発生した。ここ数週間の間、イスラエルから、数百人のユダヤ教超正統派たちが、バビロン時代の賢者であるラビ・アシの墓に墓参しようと、国境を超えてレバノン領内、軍事的に非常にややこしい地域に入ろうとする事件も相次いだ。
イスラエル軍は、7日、これを護衛したとのこと。
レバノンのアウン大統領は、先週3日(月)、サウジアラビアを訪問の際、モハンマド・ビン・サルマン皇太子に、領内にいるイスラエル軍を追い出したいとの意志を伝えていた。
両国首脳は、「レバノン領内では、レバノン軍だけが武器を持つ権利がある。イスラエル軍は直ちにレバノンから撤退すべきだ」との共同声明を発していた。
www.timesofisrael.com/lebanons-aoun-saudi-crown-prince-call-for-israeli-pullout-from-all-of-lebanon/