ユーロビジョンでイスラエル準優勝:10月7日を生き延びたユバル・ラファエルさん 2025.5.19

Israeli singer Yuval Raphael parades during the flag ceremony at the grand final of the Eurovision Song Contest 2025, at the St. Jakobshalle arena in Basel on May 17, 2025. (Fabrice COFFRINI / AFP)

5月17日(土)、スイスのバーゼルで行われた、ユーロビジョン2025で、イスラエル代表のユバル・ラファエルさん(24)が、「New day will raise(新しい日が始まる)」を歌い、準優勝を獲得した。

ラファエルさんは、ラナナ出身だが2023年10月7日、ノヴァ音楽祭に参加していて、ハマスの襲撃を受けた。自身は、足に鋭い破片が刺さる怪我をしながら、死んだふりをして道路脇にあった遺体の山の下に、何時間も隠れていて、救出されたという。

歌い終わった時、ラファエルさんは、「ありがとう、ヨーロッパ。アム・イスラエル・ハイ」と叫んでいる。しかし、ユーロビジョンのユーチューブ動画では、その部分は見当たらない。

優勝はオーストリアのグループJJだった。ユーロビジョンでは、視聴者の投票と審査員の投票で勝者が決まる。ラファエルさんは、視聴者の投票では、297を獲得し、ファイナルに残った26組の中でトップであった。

しかし、審査員による得点では14位だったため、総合2位となっていた。しかし、審査員の中で、アゼルバイジャン代表は、ラファエルさんに12点という最高点を出しているなど、実質的には、優勝に近い評価もあったということである。

こうした中、イスラエルが優勝でなくてよかったとの見方もある。優勝した場合、ヨーロッパから政治的な反発なども予想されるからである。

www.timesofisrael.com/thank-you-jj-for-israel-at-eurovision-first-would-have-been-the-worst/

2025 in Basel, on May 17, 2025. (Sebastien Bozon/AFP)

ヨーロッパでは、激しい反イスラエルの空気がある。バーゼルでは、14日(水)、15日(木)と、当日の17日(土)にも昨年ほどではなかったが、数百人が、反イスラエルのデモを行っていた。

イスラエルからは、シンベトが、ラファエルさんのための特別なセキュリティーを派遣。ラファエルさんは、ステージに立つ前に、彼らに感謝を表明していた。

なお、イスラエルでこの喜びの発表があった時、ちょうどフーシ派のミサイルが発射されて、国内でサイレンが鳴っていたときだという。

www.timesofisrael.com/israels-yuval-raphael-tops-eurovision-public-vote-finishes-in-2nd-place-as-austria-wins/

10月7日に被災者であるラファエルさんの準優勝は、イスラエル人は絶対に負けない、その強さのシンボルのようだと表する記事もあった。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。