ベツレヘムでは、11月30日、キリストの生誕を記念する生誕教会(世界遺産)前、まぶね広場で、巨大なクリスマスツリーの点灯式が行われ、クリスマスシーズンの到来を世界に告げた。
点灯式典には、数千人が訪れ、ベツレヘム市長と、パレスチナ自治政府のハムダラ首相も出席した。これから、クリスマスまで連日、盛大に、クリスマスマーケットや、コンサート、市民によるパレードなどが行われる。
言うまでもなく、クリスマスは、観光業に依存するベツレヘム市にとって、もっとも大事なかきいれ時。幸い、ここしばらく、イスラエルとの大きな衝突が発生していないため、昨年の観光客は150万人だった。新しいホテルも増築され、今年はさらに増えると見込まれている。
しかし、ベツレヘムは、イスラエルではなく、完全なパレスチナ自治政府の支配域である。エルサレムとベツレヘムは、車で約20分と非常に近いのだが、両者の間には、防護壁があり、すんなり出入りできるわけではない。
群衆がベツレヘムに向かうクリスマスイブは、観光客に便宜を図るため、エルサレム市は、ベツレヘムへの国境までの無料バスを朝まで走らせている。しかし、そこから生誕教会まではパレスチナ自治政府のバスが必要になる。
両者の間に、打ち合わせなどの協力体制はまったくないのだが、それでもこの時期、人々は群衆となって、ベツレヘムに来ている。
<ローマ教皇からのプレゼント:イエスのまぶねの木片(伝統)>
今年、クリスマスツリーの点灯式に先立ち、フランシス教皇から、イエスのまぶねの一部と語り伝えられてきた手のひらサイズの小さな木片が、ベツレヘムに返還された。
この木片は、1216年から聖地の管理者と目されてきたフランシスコ会が、伝統的に2000年前のものとして伝え、7世紀にバチカンに送られていたものである。木片は、マーチングバンドとともに迎えられ、生誕教会の隣、カトリックの聖カトリナ教会に収められた。
www.timesofisrael.com/after-1400-years-relic-thought-to-be-from-jesus-manger-returns-to-bethlehem/
なお、現在、ベツレヘムの人口は約2万9000人。Times of Israelが伝えたところによると、1950年代には、86%であったクリスチャンの人口は今や12%と、減少を続けている。原因は、悪化する貧困とともに、イスラム過激派の流入が考えられている。
ビジネスのためとはいえ、今年もクリスマスを祝うベツレヘムのパレスチナ人たちを覚えて、また少数ながら、ベツレヘムにいるクリスチャンたちを覚えて祈られたし。