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ハーバード大学の反ユダヤ主義の実態開示
トランプ大統領は、就任して早々から、アメリカの有名大学で発生していた反ユダヤ、反イスラエル主義を取り締まる具体的な対策に出ている。
コロンビア大学にはじまり、ハーバード大学にも、DEI(多様性、公平性、包摂性)施策の程度や、学生の受け入れ基準、研究内容など大学の自治に、国が踏み込むことを要求した。ハーバード大学はこれを拒否して、国が学問や、言論の自由を奪おうとしているとして、連邦政府への訴えに出ていた。
しかし、4月29日(火)、連邦タスクフォースによる、ハーバード大学での調査結果(311ページ)が公表され、大学内での反ユダヤ主義や反イスラエル主義が明らかとなり、大学もこれを否定できない形となった。
報告書によると、2023年から2024年にかけて、ユダヤ人学生、特にイスラエル人学生の存在が政治的論争の引き金になるなど、嫌がらせに遭うことが多いことが明らかになった。
キャンパス内では、ユダヤ人やイスラエル人が、アイデンティティを隠したり、学業を含め、キャンパスライフから離れる傾向を生み出していた。
報告書によると、ユダヤ人学生の39%が、キャンパスの居心地の悪さを感じており、26%は身体的な危機感も感じていた。44%は精神的な危機感、49%は精神的なサポートは受けていないと答えていた。差別やステレオタイプの非難を感じた人は60%にのぼっていた。
ハーバード大学のガーバー学長は、報告書が問題を浮き彫りにしたと問題を認める発言をしている。こうした流れはトランプ大統領に追い風になるとみられている。
トランプ政権の有名大学における反ユダヤ主義政策のこれまでの経過
就任100日目を迎えたトランプ大統領。ここでは、アメリカの有名大学を中心に広がっていた反ユダヤ、反イスラエル主義への対策についてまとめる。
アメリカでは、2023年10月7日のハマスによるイスラエル襲撃と、イスラエルに反撃による戦争が勃発すると、ハマスではなく、イスラエルに対する批判や反イスラエルデモが発生。特にコロンビア大学からスタートし、ハーバード大学など、世界的に著名な大学でも発生するようになった。デモは、校内を占拠するなどの暴力行為にまで発展していった。
トランプ大統領は、1月に大統領に就任すると、国内の反ユダヤ主義を許さない方針を打ち出し、こうした大学が、反ユダヤ、反イスラエル主義のこうしたデモを十分に取り締まっていないと非難。
DEI(多様性、公平性、包摂性)施策の程度や、学生の受け入れ基準、研究内容など大学の自治に、国が踏み込むことを要求。連邦タスクフォースを結成し、全国10の大学の調査を開始した。
まずは、この流れの駆け出しになったコロンビア大学では、キャンパス内のデモ中に、ユダヤ人学生を的確に保護していなかったとして、大学への4億ドルの支援を差し止めた。
すると、ハーバード大学をはじめとする他の大学では、教員や学生、卒業生などが、大学指導者たちに、政府に抗議するよう要求を始めた。こうした中3月初頭、コロンビア大学で、反イスラエルデモを指導していた、パレスチナ人学生のマフムード・カリルを逮捕した。政府は、全国60の大学にも同様のことがないようにと、警告を発信した。
するとハーバード大学の関連業者ら200人がキャンパスで、大学指導者に、政府にこの件に関する反対を表明するよう要求するデモを行った。しかし、当のコロンビア大学は、トランプ政権の要求に屈する姿勢を表明したのであった。
このため、ハーバード大学は、次に政府が、ハーバード大学への制裁にとりかかるのではないかと懸念し、反イスラエル主義に偏る傾向にある中東研究センターの職員二人を解雇し、パレスチナ人に焦点を当てたイベントを停止するなどの対策をとった。
すると、こうした対策は、政府をなだめようとする対策だとの反発が、学内から出てきた。政府に抗議する文書には、教官ら800人が署名して理事会に提出したほか、卒業生1000人が、ハーバード学長に対し、学問の自由と言論の自由を守るようにとの要求を出した。
こうした動きを受けて、トランプ政権は、3月31日、ハーバード大学に対し、この状態が続くなら、大学への90億ドルの連邦予算を見直すと発表した。しかし、ハーバード大学は、様々な会議の後、政権に対抗する姿勢ことを決めたのである。
ハーバード大学は、資金を見直すという連邦審査に意義を唱えて、政権に対する訴訟を起こした。これを受けて、連邦政府は、ハーバード大学へ20億ドル(約3000億円)以上の助成金の凍結を発表した。
トランプ政権に立ち向かったハーバード大学の様子に、民間からの寄付が増えているとのことだが、大学では、すでに公衆衛生大学院から解雇者が出たほか、医学部でも同様の動きが懸念されている。
ハーバード大学は、現在、助成金凍結を解除するよう、訴えている。
なお、トランプ政権は、このほかにも、アイビーリーグのコーネル大学に対しては10億ドル、ブラウン大学位5億1000万ドルの助成金を凍結している。
www.theguardian.com/education/2025/apr/19/harvard-trump-administration-timeline
www.bbc.com/japanese/articles/cn4j2p587jno
石のひとりごと
反ユダヤ主義政策は、決して悪いことではないし、何もしないわけにはいかないだろう。学問の世界には、予想以上に左派思考が入り込んでおり、妙な世界になりつつあるのかもしれない。
しかし、世界の発展を牽引してきた、こうした有名大学の支援をカットするという大胆な方針に、世界は唖然としている。
実際問題として、こうした政策は、果たしてユダヤ人やイスラエルにとってよい結果を生み出すかどうか、やや不安も感じるトランプ大統領の次の政権になった時に、この真逆になる可能性もあるのではないだろうか。。
反ユダヤ主義というものは、果てしなく陰湿だ。まずはアメリカの、そして世界のユダヤ人たちが、守られるように。