先週、ハマスのNo2モハンマド・デイフの暗殺を目的とした象徴的に大きな攻撃が実施され、ハマスがイスラエルとの交渉から撤退するのではないかと懸念されていた。しかし、ハマスは、交渉からは撤退しないと表明。現時点の交渉はカイロで行われている。
ハマスが弱体化しているとみられる中、今度はイスラエルが、フィラデルフィ回廊とラファ検問所はイスラエル軍が支配するという、新たな要求を加えて、交渉再開を遅らせているようである。
イスラエル交渉団代表のモサドのバルネア長官は、早く交渉をすすめないと、特に若い人質の女性にあまり時間が残されていないと焦りを表明している。
どういうことかというと、女性人質はレイプされている可能性が高く、そうなると、襲撃から10ヶ月になろうとする今、出産を迎えている可能性があるということではないかと推測されている。
数日前になるが、人質の女性たちが拉致された当初の新たな写真が、家族によって公開されたところである。
しかし、ネタニヤフ首相は、軍事的圧力が交渉を有利にすると述べ、イスラエル軍は、ガザ全域でのハマスなど武装組織への攻撃とインフラ破壊を続けている。
こうした中18日、ネタニヤフ首相が、フィラデルフィ回廊に面するラファのイスラエル軍駐屯地を訪問。
ガザでの軍のハマスへの圧力が、人質解放にむけて重要な後押しになると、励ましのメッセージを送った。
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同じ頃、エルサレムでは、極右で国内治安相のベン・グヴィル氏が、神殿の丘を電撃訪問。ネタニヤフ首相に対し、ハマスとの交渉に妥協して、降伏しないようにとのメッセージを発した。
また、人質が解放されるように、ここで祈ったと言い、現状維持の約束(ユダヤ人は神殿の丘で祈らない)と約束を公に破った形をとった。
いずれの動きも、ハマスとの交渉に冷水をかけたような形である。
結局のところ、ネタニヤフ首相は、人質解放最優先と言いながら、ハマス殲滅という目標の方が先になっているということは否定できないだろう。
17日に行われた閣議において、ネタニヤフ首相は、「人質は苦しんでいるが、生きている」と発言(失言と評されている)し、人質家族からの大批判を浴びた。