ハマスがイスラエルの人質解放案を公に拒否:激戦に終わり見えず 2025.4.18

Hamas leader Khalil al-Hayya gives a televised speech rejecting Israel's offer of a temporary truce and hostage release deal, on April 17, 2025. (X screenshot)

ハマスがイスラエルのオファーを拒否

4月17日(木)、ハマス指導者で交渉を担当している、ハリル・アル・ハイヤが、AFP通信に対し、イスラエルが、人質解放と停戦に関するハマスはこれを拒否すると表明した。

ハイヤによると、イスラエルは、生存する人質10人の解放と45日間の停戦を含む取引を求めていた。その代償として、パレスチナ囚人1231人の釈放と、ガザへの人道支援物資の再会を約束していた。

しかし、ハマスがこれを拒否したのは、イスラエルが、ハマスが武装解除するなら、戦争を完全に終結させるという取引が含まれていたからである。

このことが明るみに出ると、イスラエル国内で物議となった。人質家族だけでなく、多くの国民が求めるのは、人質全員を同時に解放させることである。部分的な解放で話を進めた政府に反発も出ている。

また強硬右派政治家たちからは、ハマスが土下座して敗北を認めるまで、戦闘は続けるべきだとの発言もあった。

www.timesofisrael.com/hamas-rejects-israeli-hostage-deal-proposal-dismisses-netanyahus-partial-deals/

ガザへの攻撃激化:ハマスの現状は?経済補給路断絶で危機か

IDF troops operate in the Gaza Strip, in a handout photo issued by the military on April 17, 2025. (Israel Defense Forces)

3月18日に戦闘を再開したイスラエル軍は、ガザでの戦闘を激化させている。

今回、交渉が座礁したことで、イスラエルは、今後もガザへの攻撃を継続し、強化するとみられる。

イスラエル軍は今、ハマスの指導者、特に10月7日に関わった者たちの殺害を継続している。

また、ハマスやテロ組織の拠点や武器関係地点であれば、そこにいる避難民には、前もって移動を警告しつつ、病院であれ、学校であれ、攻撃している。

各地での空爆も継続している。Times of Israelによると、4月16.17日の2日で行われた空爆は110カ所に上っていた。

イスラエル軍とシンベトによると、17日(木)ハンユニスへの空爆で、ハマスへの物資密輸を担当していた指導者が死亡。この他、イスラム聖戦の重要な指導者らが死亡したと発表している。これにより、ハマスの供給路が遮断されたとみている。

イスラエルメディアによると、ハマスは、今や現金不足に陥っており、戦闘員への給与が未払いとなっている他、新しい戦闘員の雇用もできなくなっているとみている。

www.timesofisrael.com/cash-strapped-hamas-cant-pay-fighters-as-israeli-offensive-hits-funding-sources-report/

カッツ国防相によると、イスラエルがガザ南部と国境周辺に設置した緩衝地帯は、今やガザ地区の30%を占めている。カッツ国防相は、たとえ停戦になっても、イスラエル軍はこの地域での駐留を継続すると言っている。

しかし、ハマスを標的にする中、ジャバリヤや各地でも、市民にも死傷者が出ている。

人道的避難所と指定され、最大のテント村になっているアルマワシでも、空爆の影響で、子供や市民にも死傷者が出たもようである。ハマスは、この2日間で、60人以上が死亡したと主張している。(戦闘員と市民の区別はなし)

ハマスが意地悪い心理作戦継続中

ハマスは、先日プロバガンダ映像を公表した、イスラエルとアメリカの二重国籍のエダン・アレクサンダーさん(20)について、エダンさんを保護している者と連絡がとれなくなったため、どこにいるかわからないと言っている。

アメリカは、エジプトに、エダンさんの行方を調査するよう依頼したとのこと。

また、イスラム聖戦が、16日(水)、ノバ音楽フェスで拉致された、人質ロン・ブラスラヴスキーさん(20)のプロバガンダ映像を公開した。

こうした行為は、イスラエル国民の心をえぐるものであり、戦いを続ける政府への批判を高めようとしているとみられる。

www.jpost.com/breaking-news/article-850318

ガザ北部で反ハマスデモ

こうした中、16日(水)、ガザ北部のベイト・ラヒヤでは、数百人による反ハマスデモがあった。人々は、「ハマスは出ていけ」などと叫んでいた。

www.timesofisrael.com/no-to-terror-yes-to-peace-new-anti-hamas-protest-breaks-out-in-northern-gaza/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。