中東では謝罪はリスクになりうる。ネタニヤフ首相は23日、そのリスクを負ってでもトルコに謝罪したのは、深刻化するシリア問題に対処することが最大の目的であることを明らかにした。
ネタニヤフ首相によると、シリアでは、イスラエルとの国境を反政府勢力が制圧しつつあり、膨大な武器が、イスラム過激派聖戦主義組織にわたりはじめているという。これを食い止めるためにはトルコとの軍事協力は欠かせない。
トルコとの外交関係が途絶えている現在、イスラエル軍はトルコ上空を通過することができていない。軍事協力関係が回復すれば、トルコ上空からシリアやイランへのアクセスを得ることになる。
<24日朝、シリアからイスラエル軍への砲撃>
ネタニヤフ首相の懸念を裏付けるかのように24日朝、ゴラン高原南部の国境をパトロールするイスラエル軍のジープが、シリア側からの砲撃を受けた。物的被害はあったが、負傷者はなし。これを受けてイスラエル軍は、シリアの軍事施設に向けて反撃を加えた。
シリアからの砲弾がイスラエル軍をねらったものか、流れ弾なのかは不明。
<謝罪のリスク:トルコとハマスの勝利宣言?>
イスラエルは謝罪とともに、トルコ人犠牲者の家族に補償金を支払う。さらに、イスラエルはトルコの要求に応じ、ガザ沖の海上封鎖を解くという部分にも合意しているという。
ネタニヤフ首相の謝罪を受けて、ガザのハマスはトルコのエルドアン首相に、勝利の祝辞を伝えた。エルドアン首相も近々ガザならびに西岸地区を訪問する意向を発表した。トルコのエルドアン首相は「これでトルコが昔のように地域でも発言権を持つようになる」と大きくかまえている。
なお、トルコ側の譲歩は、マルマラ事件に関わったイスラエル兵(アシュケナジ当時参謀総長を含む)の国際法廷への提訴を却下するというもの。
それぞれの約束が果たされるのを確認し、両国は段階を経て、大使を派遣しあい、外交関係を回復することになる。