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トランプ大統領が2月15日(土)正午に人質全員解放なければ戦争再開と警告
ハマスが次の人質解放を延期すると発表した数時間後、トランプ大統領は、記者団に対し、「ハマスは2月15日(土)正午までに、人質を全員解放しなければならない。もしそうしないなら、それは戦争を再開する時になるだろう。これまで積み上げてきた、すべてがキャンセルになり、ガザは地獄となる」と述べた。
トランプ大統領からの脅しで、ハマスが譲歩して、予定通り人質3人を解放するということであれば、ありえたかもしれない。しかし、トランプ大統領は、人質全員を釈放しなければと、そのハードルを高く上げた形になっている。これをハマスがそのまま受け取るとは思えない。
となると、15日(土)正午から戦闘が再開になるということである。無論、トランプ大統領は、アメリカ自身が、ガザを攻撃すると言っているのではない。イスラエルが攻撃するだろうと言っているのである。
しかし、今、ガザでは、避難民が各地に戻っているので、本当に戦闘が再開になれば、まさに想像を絶する地獄の事態になるだろう。
しかし、トランプ大統領は、もしかしたら、それを望んでいるのかもしれないとも思う。ハマスという危険分子を一掃してからでないと、ガザの不動産計画が進まないからである。
www.ynetnews.com/article/hksdwzdfjg
トランプ大統領が語るウインウイン?のガザ不動産ビジョン
トランプ大統領が、ガザを「所有する」という言葉を使いながら、ガザの190万人を別の場所に再定住させるという計画の思惑が少しずつ見え始めている。
トランプ大統領は、政治家ではなく、ビジネスマンとして、ガザを有益な不動産と見ているのである。確かに、今は瓦礫状態だが、地中海に面するガザのビーチは、トランプ大統領が言っていたように、スペインのリビエラ・ビーチのような美しい保養地になる可能性を秘めている。
またガザ沖には、ガス油田もある。その利益もトランプ大統領が考えているかどうかは明らかではないが、この豊かな“不動産”を手に入れるために、ガザ市民190万人には、別の豊かな場所を複数提供し、その地域の開発から、家を建てることなど、膨大な全ての費用はアメリカが持つと言う、いわゆる、”取引”を持ちかけているのである。
FOXニュースのインタビューの中で、「では一旦ガザを出たパレスチナ人は、復興後、またガザの戻れるのか」と聞かれると、トランプ大統領は、明確にこれを否定した。
トランプ大統領的は、「ガザの人々は今より、はるかに安全で、いいところに住むようになる。また、ガザの復興には何年もかかるので、そのころまでには、ガザの人々もガザに、戻ってきたいとは思わなくなっているだろう」と述べた。トランプ大統領は、この取引は、両者にとってウインウインの取引だと確信しているのである。
www.timesofisrael.com/trump-under-my-plan-gazans-would-relocate-permanently-not-be-able-to-return/
しかし、これは、ガザ市民の再定住が一時的という概念を否定するものであり、物議となっている。
しかし、実際に190万から200万人近い人々をいったいどこへ移動させるのか。トランプ大統領は、エジプトとヨルダンが、アメリカの支援を年間数十億ドル受けていると言っており、もしガザのパレスチナ人を受け入れないなら、この支援に影響が出てくるといったことも言い始めている。
11日(火)ヨルダンのアブドラ二世国王が、ワシントンに招かれており、その話になるとみられている。またトランプ大統領は、エジプトのシシ大統領や、サウジアラビアのビン・サルマン王子とも近く会談するつもりだと語っている。
www.timesofisrael.com/trump-under-my-plan-gazans-would-relocate-permanently-not-be-able-to-return/
普通の目には、どうみても不可能にしかみえないが、トランプ大統領はやる気満々である。このビジョンは実現するものなのか、危険な幻想なのかと、世界は困惑しながら見ているところである。
トランプ大統領ビジョンとネタニヤフ首相の賭け
エルサレムポストは、今ネタニヤフ首相は、トランプ大統領の再登壇で、ガザ問題、イラン問題、サウジアラビアとの国交問題など、あらゆる分野において成果をあげている、というか、予想以上の成果が上がっているとみられている。
また今、興味深いことに、パレスチナ自治政府のアッバス議長が、イスラエル人に対する攻撃で逮捕されたり、死亡した者とその家族に、特別恩給を与えるという、これまでのシステムを止めると伝えた。イスラエルは、これまで、これを「殺戮の報酬」だとして非難し続けてきたものである。
今になってこれを出してきたのは、パレスチナ自治政府こそ、パレスチナ人を代表する組織であることを国際社会に訴えるものであると見られている。理論的には、アメリカからの自治政府への支援も再開される可能性も出てくると言う。
www.timesofisrael.com/in-major-win-for-trump-pas-abbas-signs-decree-ending-pay-to-slay-system/
もし、これらが全て、実現すれば、イスラエルの地位は安泰となり、治安の維持も格段に向上する。こうなれば、ネタニヤフ首相自身の夢、イスラエルに貢献した首相として歴史に名が記されることも夢ではなくなる。
一方で、トランプ大統領の計画が失敗に終わった場合、すべては幻想に終わり、ネタニヤフ首相は、失策で10月7日のハマスの奇襲を招いたとして、代々、最悪の首相として覚えられることになる。これからの数ヶ月で、どちらになるかが決まると分析している。