トランプ大統領は2月6日(木)、ネタニヤフ首相との会談の直前、トランプ大統領は、ICC(国際刑事裁判所)が、ネタニヤフ首相とガラント前防衛相に、戦争犯罪の罪で対して逮捕状を発行したことに対し、職権の乱用だとして、関係職員に対する経済制裁と渡航制裁を課すとの大統領令に署名した。
制裁の対象になる職員がだれになるかは、まだ明らかではないが、ロイター通信によると、まず、この件に全面で動いていたカリム・カーン検察官の名前は上がっているという。
ICCは、ICJ(国際司法裁判所)とは別に、世界で起こっている虐殺行為に関して、関係する個人も含めて裁く権威を有する裁判所である。2002年に設立され、加盟国は、125か国で、アメリカとイスラエル、ロシア、中国は加盟していない。今の所長は日本人の赤根智子氏。
ガザの件について、ICCは、イスラエルだけでなく、ハマスのトップ、シンワルと、ハニエ、デイフについても10月7日の虐殺で逮捕状を出していた。しかし、シンワルとハニエは死亡したので、今はデイフ以外の逮捕状は取り消している。
赤根所長は、トランプ大統領の制裁について、ICCの独立性と公平性を損なうと述べ、裁判所の機能を政治家することに断固拒否するとの声明を出した。
また、加盟国の3分の2にあたる、79か国が、「制裁により、案件の現地調査を行っている事務所が閉鎖に追い込まれ、調査に影響が出てくる。国際法の支配が損なわれる恐れがある。」として、アメリカの制裁に反対する声明を出した。
トランプ大統領は、前期にも、ICCが、アフガニスタンに駐留していた米軍を戦犯の疑いで捜査に入ったことで、ICCに経済制裁を発したことがあった。この時の制裁は、後に就任したバイデン大統領が取り消していた。
今回は、アメリカではなく、イスラエルに対してICCが行ったことへの制裁である。言うまでもなく、ネタニヤフ首相はこれを賞賛している。