聖書に登場するダビデ王は、紀元前10−11世紀の人物だが、意外にその考古学的証拠は少ない。このため、ダビデ不在説なども存在する。
しかし、それを覆すように発見されたのが、2008−2013年にかけて発掘された、エラの谷に面する丘の上にあるキルベット・カイエファであった。聖書では、シャアライムという名で登場し、ダビデが巨人ゴリアテを倒す前に、サウル王からよろいを着せられた軍事拠点であった可能性がある。
今回、ヘブライ大学などのチームによって発見されたキルベット・アライは、この町と同じ時代とみられる遺跡で、聖書に登場するツィケラグではないかと考えられている。発掘は2015年から始められていた。
聖書(第一サムエル記27章)によると、ダビデが、サウル王から逃げていた時、ペリシテ人でガテの王、アキシュが、ダビデにこの町に住むことを許可し、ダビデは部下たちとともに、この町に住んだ。
その後、ダビデたちが、イスラエル(サウル王)と戦うためにアキシュとともに、途中まで従って行った間に、アマレク人に焼き払われている。
場所は、アシュケロンに近く、キリアット・ガットとラキシュの間に位置する丘の上で、紀元前11−12世紀にさかのぼるペリシテ人の時代のツボやオイルランプなど、1000個以上も発見された。ダビデの時代に特有の食器も発見されている。
シャアライムが、ガテに面し、ツィケラグは、アシュケロンに面しているところからも、当時のイスラエルとペリシテの対立する地理的な様子を彷彿とさせる貴重な遺跡である。