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トランプ大統領がシリアのシャラア大統領と会談
サウジアラビアに到着した5月13日(火)、トランプ大統領は、シリアに対する経済制裁を解除すると、電撃的な発表を行なった。
トランプ大統領は、シャラア大統領(42)が、混乱のシリアを多様性に寛容な国にしようと試みていることを評価し、それにチャンスを与えてもいいと語った。しかし、背後で、アメリカへの膨大な投資を約束したサウジアラビアと、トルコの要請であったと言われている。
これを受けて、シリアでは、大喜びの様子となっていた。
その翌日の14日(水)、トランプ大統領は、リヤドで、シリア暫定政権のアハメド・アル・シャラア大統領と直接の面談を行った。アメリカとシリアの首脳が直接会談するのは、25年ぶりだという。
この会談には、サウジアラビアのビン・サルマン皇太子と、トルコのエルドアン大統領もビデオで参加していた。
トランプ大統領は、シャラア大統領に対し、経済制裁解除の条件として、シリア領内からパレスチナ人テロ組織と、すべての非シリア人戦闘員の国外追放と、(トルコが敵対する)クルド人武装組織が管理するISIS戦闘員収容所を、シリアの手に取り戻すことを要請した。
これらの要請は、アメリカと湾岸諸国は、シリアをイランの影響から引き離す目的で行われたとみられている。
また、トランプ大統領は、イスラエルとの国交正常化を含むアブラハム合意への勧誘も行っていた。
会談は、1時間半にわたって行われた。その後、シリア外務省は、この会談を称賛したが、アブラハム合意については、何も言わなかった。
www.timesofisrael.com/trump-urges-syrias-al-sharaa-to-join-abraham-accords-with-israel/
イスラエルの反応:シャラア大統領と水面下で交渉中
イスラエルは、元アルカイダの筋金入り戦闘員であるシャラア大統領を信用していない。ネタニヤフ首相は、以前から、トランプ大統領に対し、シリアと手を結ぶことは避けてほしいと要請していた。
イスラエルは、まだ内乱の危険性を持つ状態にあるシリアを警戒し、国境に緩衝地帯をシリア側に設けているほか、ヘルモン山のシリアを見渡す地点を制覇して、イスラエル軍を駐留させ、シリアの過激派たちを牽制している。
シリア領内の元アサド政権の武器庫を攻撃するなど、シリア領内への攻撃も時々発生している。ネタニヤフ首相は、トランプ大統領に、シリアと手を結ばないように要請していたのであった。
ところが、トランプ大統領が、シャラア大統領と直接面談するのに合わせて、イスラエルチャンネル12が、イスラエルもシリア当局と、すでに数ヶ月にわたって、安全保障と、アブラハム合意も含めての協議を水面下で行っていると報じた。仲介者は、UAE、カタール(?)である。
イスラエルにとっても、シリアが、アメリカと湾岸諸国に接近することで、イランから離れることは悪い話ではない。今後の動きが注目される。