ガザ戦闘再開・カイロ交渉破綻へ 2014.8.20

イスラエルとハマスは、何度も一時的停戦の延長を繰り返し、今週、恒久的停戦への合意に至るとの見通しとの見方もあったが、最後の停戦期限19日深夜の数時間前になり、ハマスがベエルシェバ近郊へ3発のミサイルを撃ち込んで来た。

これを受けてネタニヤフ首相は、発射元へ反撃を指示。空軍が、ガザ地区内部への空爆を行った。ガザ市民たちは、イスラエルの空爆を恐れて、国連の避難所へ殺到したという。

パレスチナ側は、イスラエルが先に攻撃したと主張している。しかし、別の報告では、パレスチナ代表団で交渉しているハマスとは別に、海外にいるハマスのカリッド・マシャアル政治部門指導者が、カイロでの交渉成立を妨害しようとして、イスラエルへの攻撃を命じた伝える記事もある。

一方、合意寸前になって、ネタニヤフ首相がなかなか決めかねているのを見て、ハマスのスポークスマンが、「まだわからないなら、ネタニヤフ首相にわかるようにしてやる。」と過激発言をしていたことから、ハマスが先に攻撃したのだろうとする情報もある。真相は不明である。

いずれにしてもネタニヤフ首相は、カイロに派遣していたイスラエルの代表団を呼び戻した。これにより、カイロでのイスラエル・パレスチナの交渉は再び破綻するに至った。

<カイロでの交渉破綻直前の状況>

*以下の記事は、カイロの交渉が破綻に陥る数時間前に書いていたものである。交渉は、イスラエルがかなり譲歩する形で、恒久的停戦に合意する流れになっていた。

カイロでは、イスラエルとパレスチナ(ハマスを含む)が、”恒久的停戦”をめざして交渉を続けているが、双方譲りがたい点を抱えているため、難航を極めている。

ハマスは、「次は休戦延長に応じない。」と毎回強気発言をしているものの、実際は、停戦の延長を繰り返している。今週は14日から5日間停戦を延長して交渉が行われた。

この5日間の停戦は、19日深夜0時で期限が切れたが、両者は、エジプトの要請で、再び24時間の休戦を受け入れた。

交渉は基本的に非公開なので、まだ確かな情報はない。しかし、漏れ及ぶ記事の流れからすると、恒久的停戦の条件として、イスラエルは、国境封鎖を、段階的に解除する方向で動いているもようである。

今回はガザの破壊があまりにも壮絶なので、国境封鎖をある程度は解除しないと、ガザのリハビリテーションが不可能とみられるためである。

国連によると、ガザでは総人口180万人のうちの40万人が家をなくしている。死者は2000人を超え、この悲惨な状況の中、負傷した体でサバイバルしなければならない人々の数は文字通り数えきれない。国連は、もし国境を開放しなければ、ガザ地区は、少なくとも15年は今のままで放置されるとの調査結果を出している。

ガザのリハビリテーションには、膨大な資金が必要となる。国際社会は、ガザの回復にむけての資金援助を中心とする会議を開催する方向で動いている。その場合、資金がハマスに流れないよう国際社会が監視するシステムが検討される。

このように、ガザ地区の実際的必要が緊迫しているため、イスラエルが要求しているハマスの非武装については、後回しになりそうである。

今回、アメリカはカイロでの交渉に表面的には大きく介入していないが、Yネットによると、水面下で、イスラエルの治安維持の必要性は認めると保障しながら、段階的国境解放についてイスラエルを説得していたもようである。来週、ケリー国務長官がイスラエルに来る予定。

<永遠の民は長い道のりを恐れない:ネタニヤフ首相>

*ネタニヤフ首相は、アメリカの説得で、ガザとの国境封鎖の解放を段階的に実施する方向になっていることを受けて、これに反対する国民の前に赴き、理解を得ようとしていた。

イスラエル国内では、今回もハマスを最後まで徹底的に破壊せず、ガザ地区の非武装化もできなかったことについて、不満をもつ声が大きい。テルアビブでは、「政府は最後まで作戦を遂行せよ。」とのデモが1万人規模で行われた。

南部周辺のキブツ住民は、ハマスがまだ健在である以上、安心して自宅に戻れないとして、こちらも政府の対応に不満を訴えている。ネタニヤフ首相は、昨日、スデロットで、ボランティア活動を続けている若者たちを訪問した。

スデロットの住民は、ガザからのロケット弾攻撃にもう10年以上も苦しめられてきた。多くの人々が今もPTSDに苦しめられている。今回も日々のサイレンに加えて、新しい脅威、トンネルからの侵入者の警報も連日続いた。

ボランティアたちは地下シェルターで、子供たちと一緒に遊んだり、サポートが必要な人々への訪問活動を行って来た。町をあげて、イスラエル軍の必要を支援し、兵士たちの洗濯をしたり、差し入れを届けたり。ガザの非武装が完了しないまま、今回も作戦が終了するという事に対する、南部住民の落胆ははかりしれない。

ネタニヤフ首相は、スデロットの住民やボランティアたちに、「私たちには忍耐が必要だ。永遠の民は、長い道のりを恐れない。」とするラビの言葉を引用し、理解と協力を求めた。

*こうした動きもあったが、現在、再びハマスの攻撃とイスラエルの空爆で、暴力が再燃する可能性が高まる結果となった。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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