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ガザへの「ギデオンの戦車」作戦開始
カタールの首都、ドーハで行われていたハマスとイスラエルの人質解放に関する交渉は、今回も結果を出すことができなかった。
トランプ大統領が中東歴訪を終えて、帰国の途についたことを受けて、イスラエルは、警告していた通り、5月16日(金)夜遅く、ガザへの新たな攻撃を開始した。
Times of Israelによると、イスラエル軍は、ガザ北部に、攻撃を予告し、避難を呼びかけるちらしを配布。その後、16日(金)夜から17日(土)にかけて、ジャバリア、デイル・アル・バラ、南部ではハン・ユニスでも空爆を実施した。
イスラエル軍は、大規模に予備役兵を招集しており、攻撃はかなり大規模になる様相にある。
24時間で空爆した地点は150か所に及んでいた。ジャバリアと、デイル・アル・バラにおいては、地上軍も進軍している。
こうした中、ガザの人々は、また移動を強いられている。
この大規模攻撃の目的は、戦略的地域を占領し、人質を捜索、救出するとともに、ハマスを殲滅する。それにより、支援物資の安全な配布を行うこととしている。作戦は、「ギデオンの戦車」と命名されている。
ハマス保健省によると、この24時間の攻撃で死亡した人は、100人以上が死亡したとみられ、攻撃がエスカレートし始めた14日(木)からすでに300人以上が死亡したと発表している。
しかし、がれきの下敷きになった人はまだ発見されていないので、その数はまだ増えるとみられる。*死者数に戦闘員と市民の区別はない。
攻撃開始後ハマスとイスラエルが交渉再開
しかし、攻撃が始まった後の17日(土)、ハマスは、ドーハでの交渉を再開することを認めた。両者は、双方、無条件で交渉を再開している。
ネタニヤフ首相は、交渉が決裂した後も、交渉団をドーハにとどまらせており、攻撃後に交渉が再開されることを見据えていたようである。攻撃開始後も、交渉責任者のダーマー戦略大臣と、ウィトコフ米特使と連絡を取り合っていたとのこと。
カッツ国防相は、イスラエルの激しい攻撃が、ハマスを交渉のテーブルに引き戻したのだと言っている。
Times of Israel がカタールのメディアからとして伝えているところによると、とりあえず、アメリカの監視の元、2ヶ月停戦とし、その間に、恒久的な停戦について話し合われる方向で交渉が進んでいる。
イスラエルのメディアKanによると、この間に解放される人質は10人で、引き換えに、イスラエル側が解放するパレスチナ人囚人は、200―250人になる。
イスラエル当局者は、これは最低限であり、ハマスがこれを受け入れないなら、激しいガザ攻撃が続くだけだと言っている。
一方、ハマスは、今もまだ合意に至れない理由として、イスラエルが、人質を全員返した後に、二度と攻撃しないことを約束しないからだと言っている。
実際のところ、イスラエルは、ハマスを殲滅することを最終目標にしているので、この点で妥協することはない。ハマス全面無条件降伏。これが求められているということなのである。