ガザから一部市民脱出 2014.7.14

<ガザ北部住民へ、避難勧告のビラ>

13日朝、イスラエル軍はガザ地区北部の住民に対し、正午までに家を出て南部へ避難するようにとのビラを上空から撒いた。ガザ地区北部には、都市部をねらう長距離ミサイルの発射地があるとされる。

同時に海軍特殊部隊がガザ地区北部へ侵入し、なんらかの使命を果たして速やかにイスラエル側へ戻った。この時にハマスと銃撃戦になり、イスラエル兵4人が負傷している。

こうした流れから、正午過ぎにイスラエル軍がガザ地区北部へ地上軍を投入するのではないかと、緊張が走った。

しかし、正午以降、北部へは空爆が行われただけで、地上軍は動かなかった。

<地上軍投入への道のり>

イスラエル軍からは、様々な攻撃プランを治安閣議に提出。Yネットによると、予備役の招集は4万8000人まで引き上げられ、実際にすでに4万人が招集されて、軍としては準備が完了している。

しかし、閣議がゴーサインを出さないでいる。閣議では、右派と左派で意見がわかれている上、政府が信頼する軍事専門家のアモス・ヤディン氏が、今が停戦時といった意見も出している。

アモス氏は、「現時点では、国際的にもまだイスラエルに攻撃の正論がある。今もしハマスがイスラエルからの条件での停戦を受け入れるなら、ハマスを十分に弱体化できたことが明らかになる。

もしハマスがイスラエルの条件を受け入れない場合は、その時は、大規模に軍事作戦を展開しやすくなる。だから停戦を提案すべき時だというのである。

アモス氏は、作戦が長引けば長引くほど、予想外の被害が発生し、事を複雑化させると懸念する。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4542705,00.html

また、ハマスを徹底的につぶして次にもっと悪いものが出てくるよりは、もはやエジプトの後ろ盾がないハマスを十分弱体化した上で、ガザ地区を管理してもらう方が得策だという意見もある。

ネタニヤフ首相、難しい決断である。今のところは、空爆を継続しながら、引き続きガザ周辺に戦車や兵を増やして、ハマスに圧力をかける方策を続けるもようである。

<ガザ北部市民の脱出と避難>

圧倒的なイスラエルの軍事力に、圧力を感じているのは、ハマスよりも、ガザ市民のようである。イスラエル軍の避難勧告のビラが撒かれてから、ガザ北部の住民で、外国籍も合わせ持つ人々が、ガザからの脱出を始めている。

脱出組は、イスラエルとの国境から、ヨルダンを経由して第三国へ行く事になる。これまでに800人近くが脱出している。

しかし、こうした脱出が可能なのは経済的な余裕のある人だけである。ガザ住民は、180万人を超える。この大半は、ガザから出る事は不可能である。

13日朝、ハマスはイスラエルのビラを無視するよう指導したが、北部住民のうち4万人が南部へ避難した。国連は学校8つを解放し、避難所とした。

17000人以上が、避難所にいるという。大きな家族をつれて避難してきた父親は、「子供たちを人間の盾にはしたくない。」と語った。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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