ガザからベエルシェバにもミサイル 2014.7.6

金曜、土曜の安息日中のガザからイスラエル南部都市へのロケット弾は、計29発。このうち2発は、長距離ミサイルで、ベエルシェバまで到達した。ベエルシェバへの一発を含め、8発は、迎撃ミサイルが撃墜。一部は建物を直撃し、火事になったりしているが、負傷者はなし。

イスラエル軍によると、3人の少年が誘拐殺害されてから、イスラエルに向けて発射されたロケット弾は計135発。このうち、迎撃ミサイルが撃墜した数は21発。ちなみに迎撃ミサイルは一発発射するたびに100万円以上のコストがかかっている。

イスラエル空軍は、ガザへの報復の空爆を行っているが、数カ所にとどまり、ニュースでは「イスラエルはほとんど沈黙」と評されている。

治安閣議は水曜にも行われたが、今のところ、大きな動きはない。

<打倒イスラエルに執念のガザ・ハマス>

リーバーマン外相や、ベネット経財相など右派閣僚は、「ガザを再占拠するべき」と発言するなど、ガザへの軍事介入を訴えている。しかしながら、ガザへの大規模攻撃が、解決をもたらすとは限らない。

2012年、せめて次の10年、ロケット弾がなくなればとの希望の元、大規模な地上軍によるガザ侵攻が行われた。ハマスの軍備をかなりたたいたと評されていた。しかし、わずか2年後の今、ハマスはすでにイスラエルを攻撃しているのである。

また、今回は、ハマスがイスラエルをなんとかガザ侵攻に引き入れようとしているという分析もある。戦争に引き込んで、さらにイスラエル国内奥深くへの攻撃をするか、国際社会のイスラエル批判を得るためである。

ところで、ガザのハマスは、エジプトでムルシ大統領が失脚し、ムスリム同胞団からの支援を得られなくなった今、経済的にも悲惨な状況にある。もっとも顕著なのはエネルギー不足。ガザでは電力不足で下水処理ができなくなっており、とうとうビーチに下水を垂れ流しはじめている。

それでもハマスは、イスラエルを攻撃している。最後の力をふりしぼって・・・というところなのかもしれないが、この執念にどう対処するのか・・。今回は特に、ガザへの攻撃が、国内でのパレスチナ人の暴動悪化につながることになる。

かといって、このまま南部の市民の危機を見過ごすわけにもいかない。ネタニヤフ首相、大変苦しい選択をせまられている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

コメントを残す

*