イランへの攻撃の成果
イスラエルがイラン本土の軍事関係地点への攻撃を実施してから、48時間が経過した。イランからイスラエルへの報復はない。実際何があったのか、少しずつ明らかになってきた。
1)イランのミサイル製造能力を断つ
まず、イスラエル軍は、イラン革命防衛隊の各地にある弾道ミサイルなど製造基地とその施設を空爆、破壊していた。
@planet 3m imagery taken this morning of Khojir and Parchin missile production facilities show precise strikes on warehouses and mixing buildings associated with the production of solid-fueled ballistic missiles. pic.twitter.com/Qpodu4pN5m
— Decker Eveleth (@dex_eve) October 26, 2024
特記すべき破壊は、テヘラン郊外の軍事基地にある固形燃料のミキサーの破壊である。ミキサーは、製造が難しく、イランは長年かけてやっと多数を確保したとみられる。改めて補充することは非常に困難である。
元イスラエル海軍諜報長官で、バルイラン大学のエイヤル・ピンコ氏によると、イランは、このミキサーなど弾道ミサイル製造の設備や、TNTなどの原料を中国から購入していた。
弾道ミサイルの製造を再開するには、それらをまた中国から搬入しなければならず、1年半ぐらいはかかるとみられる。これにより、イランだけでなく、ヒズボラやハマスへのロケット弾の供給も低下するはずである。
2)イラン上空の防衛能力を遮断し、イスラエル軍機が自由に飛行できるようにする
またテヘランのホメイニ国際空港と、テヘラン近郊のミサイル基地に設置されていた、最強の防空迎撃ミサイルシステム、S300(ロシア製)4基を破壊ことも非常に大きい打撃である。加えて、イスラエル軍は、イラン全国にある石油関係地点の防空システムも破壊していた。
結果として、イスラエルの戦闘機がイラン上空を飛行する自由度が向上したということである。今後、もしイランが反撃した場合、イスラエルは恐れなくイランを空爆できる。今回の攻撃で、イランからの攻撃を非常に効果的に、抑制することになった可能性が高い。
3)ドローン製造へブレーキ:イスラエルの情報収集能力を強調する
またイランのドローン製造工場への部分的な攻撃も行っていた。イランはドローンをイエメンのフーシ派とロシアにも提供している。イスラエル軍は、この攻撃で、その場所をしっかり把握していることをイランに見せつけたことになる。
また、この一連の攻撃でイラン兵4人が死亡したが、民間人への被害は全く発生しなかった。イランの人々は、戦争を恐れながらも日常生活を続けているとのこと。
イスラエルの国営放送によると、この作戦は、20年の年月をかけて計画、準備されていたものだった。レバノンでのポケベルや通信危機爆破とともに、イランと世界に対して、イスラエルをあなどってはならないという強烈なメッセージとなった。以下は、IDFが発表した、イランに向けて発信するF16の映像。
The IDF releases a video showing F-15 fighter jets heading out to carry out last night's strikes in Iran. pic.twitter.com/9BAjeSBP5H
— Emanuel (Mannie) Fabian (@manniefabian) October 26, 2024