イラン外交・イスラエルに対抗姿勢表明も国連に介入要請:米フーシ派をB2ステルス戦闘機で攻撃で警告か 2024.10.17

Iranian Foreign Minister Abbas Araghchi speaks during a joint press conference with his Iraqi counterpart Fouad Hussein (not in picture) during his visit to Baghdad, Iraq, October 13, 2024. (AP/Anmar Khalil)

イスラエルはイラン攻撃直前・イランは外交に奔走

Ariel Hermoni (IMoD)

イスラエルは、イランに181発のミサイルを発射されたことに対する報復を宣言しつつ、もう2週間になる。

イスラエル軍は、ネタニヤフ首相とガラント防衛相に対し、中東諸国とも協力を得る中で、最も効果的となるイラン攻撃プランを提出したと伝えられている。形は整いつつある様相である。

こうした中、イランのアラグチ外相は、この1週間の間、レバノン、シリア、サウジアラビア、カタール、イラク、オマーンを訪問して緊張緩和を図ろうとしていた。

また、13日に、フランスのマクロン大統領と電話会談したのに続いて、15日、国連のグテーレス事務総長と電話会談した。

アラグチ外相は、「イランは、イスラエルが地域の平穏を崩そうとする試みに完全に対処する準備ができている」と伝えると同時に、国連の権威を用いて、イスラエルの“犯罪”を止めるよう要請し、人道支援物資をガザ北部に送ってほしいとも述べた。

アラグチ外相は、さらにヨルダン、エジプトを訪問予定とのこと。

www.timesofisrael.com/iran-says-it-will-respond-decisively-if-israel-attacks-asks-un-to-intervene/

イランはまだ核兵器を完成していないとみられる。またイスラエルによるヒズボラに対するポケベル爆発以来、イランでもポケベル使用を禁止するなど、イスラエルに対する恐れの動きもある。

イラン人知人によると、イラン国内では、今の政府が以外に弱いとの認識が広がっているとのこと。確認したわけではないが、イランの動きからしてその可能性もなきにしもあらず・・。そうであってほしいとは願うところである。

アメリカがB2ステルス戦闘機でイエメン・フーシ派地下武器庫空爆・破壊

こうした中、アメリカは、17日早朝、長距離ステルス戦闘機B2を使って、イエメンのフーシ派の地下武器庫を空爆、破壊した。アメリカが、フーシ派に対してこのB2戦闘機を使うのは初めてである。

実際の被害の様子はまだ明らかではないが、オースティン国防相によると、この攻撃でフーシ派の地下武器庫500カ所が破壊されたとのこと。

フーシ派は、10月7日以来、紅海で、80隻以上の船舶に被害を与えている。もし、イスラエルがイランを攻撃して、イランが反撃し、中東戦争になった場合、フーシ派が、全世界の貿易船の運航に影響を与えてしまうかもしれない。

そうなれば日本含め世界は大きく影響を受けることになる。フーシ派の武器を壊滅しておくことで、その可能性をできるだけ避けるようにしたのかもしれない。

また、アメリカが、今回B2ステルス戦闘機という高度な戦闘機を使うことで、アメリカはどこにでも到達できると、イランに警告を発する意味もあったとみられている。

アメリカは、イスラエルに迎撃ミサイルを供給し、イスラエルがイラン攻撃直前の今、このように、イスラエルの背後にいることを証明して見せた形である。

中東戦争になった場合、アメリカはしっかり介入させられることになるといわれている。

www.timesofisrael.com/us-stealth-bombers-hit-houthi-underground-weapons-depots-in-apparent-warning-to-iran/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。