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アメリカとイランの関節交渉2回目
アメリカとイランは、世界が過越とイースターウイークという休暇中の4月19日(土)、イタリアの首都ローマのオマーン大使館で、2回目の交渉を行った。
この交渉は、アメリカからはウィトコフ特使、イランからは、アラグチ外相の間で行われているが、直接ではなく、オマーンが間に入ってということである。内容は明らかにされておらず、交渉は今週末に、オマーンで3回目が行われることになった。
イスラエルとアメリカは、イランが核兵器を持つべきではないという点で合意しているが、交渉でアメリカが、イランの核開発施設を維持したまま、ウラン濃縮の上限にキャップするという、2015年の合意と同じ形で、話をまとめる可能性もある。
Times of Israelによると、イランのアラグチ外相は、2015年の国際社会とイランとの交渉をまとめた当事者である。
一方、ウィトコフ特使はビジネスマンで外交経験はゼロである。ビジネス的な感覚だけであれば、戦争なしに、イランを止められるならとまるめこまれる可能性は決して低くない。
イスラエルは単独で限定的イラン攻撃もありうるか
イスラエルは緊張して、交渉の成り行きを見守っている。場合によっては、単独で部分的なイラン攻撃を準備しているとの情報もある。
しかし、これにブレーキをかけるとみられる動きもあった。サウジアラビアの国防相が4月17日(木)にイランを訪問していたのである。
イランは、もしイスラエルがイランを攻撃したら、中東全体の戦争になると警告している。サウジアラビアの国防相のイラン訪問は、イスラエルに対する牽制とも考えられる。
ロシアが介入の可能性
2回目の交渉がローマで行われた2日前の4月18日(金)、イランのアラグチ外相は、モスクワを訪問し、ロシアのラブロフ外相と会談していた。
Ynetの分析によると、イランとアメリカの交渉にロシアが介入してくる可能性を指摘している。
それによると、ロシアが、イランの高濃度濃縮ウランの貯蔵を引き受け、イランが、核兵器を製造しないことをロシアが保証するという形を持ち出してくる形である。
www.ynetnews.com/article/syi7ramjee
イランとロシアは、今年1月にイランのチャバハルに宇宙船打ち上げも可能になる宇宙港の建設を進めており、これにロシアが協力していると言われている。これが完成したら、イランのミサイル発射能力が上がると見られ、警戒されている。ロシアとイランは密接な関係にある。
一方、ウィトコフ特使は、ローマでの交渉の前日、イスラエルのダーマー戦略大臣、モサドのバルネア長官と会談を行なっていた。
また、この同じ時、アメリカのバンス副大統領が、関税問題でイタリアを訪問。メローニ首相と会談していた。またグッドフライデーでもあり、バチカンで行われた礼拝に家族と出席していた。
この時に、バンス副大統領が、ウィトコフ特使と連絡をとっていたかどうかは不明だが、同じ時期だったということは興味深いところである。
apnews.com/article/vance-us-pope-migration-f16a4474286b2037ae84a019285c90a3
石のひとりごと
ビジネスではベテランでも外交では経験がないトランプチームが、イランと向き合っている。海千山千で非常に狡猾な知恵者のイランとの対決。予断を許さない緊張が続いている。