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IAEAがイランが核爆弾9個分に届くウランを保有していると報告
アメリカとイランの核交渉は、これまでに5回行われたが、まだ結果は出せていない。こうした中、イラン情勢が緊迫してきた。
IAEA(国際原子力機関)が、5月末に、加盟国35カ国への報告の中で、イランが、IAEAが監視していた3カ所の施設で、秘密裏にウランの濃縮を行なっていたと報告していたことが、明らかとなった。

報告によると、イランは、60%の濃度のウランを408.6キロ保有している。
IAEAによると、60%のウランが、42キロあれば、すぐに核爆弾1つになることから、イランは、実質、すでに9個の核爆弾を保有していると言えるとのこと。
これを受けて、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツが、来週、理事会を開催し、イランが世界諸国との核合意を遵守していないとの決議を行う流れになっている。イランは激しく反発している。
こうした中、6月4日(水)、イランの最高指導者ハメネイ師が、アメリカと行っている核交渉において、今、アメリカが出している合意案は、イランの国益に反するとして、これを拒否すると表明した。国のトップがこう断言したということは、深刻なことである。
トランプ大統領は、この後も、イランのウラン濃縮は認めない点で譲歩はないと表明している。
サウジアラビアがイランに警告していた

少し前になるが、4月17日、サウジアラビアの国防相が、イランを訪問し、非公開で、イランのペゼシュキアン大統領ら政府指導者たちと会談。
その時に、サウジアラビアのビン・サルマン皇太子が、その父の後押しで、イランのハメネイ最高指導者に書面にて、「アメリカの大統領には、長く待つ忍耐はない。アメリカの核合意に関する申し出を真剣に検討してほしい。
それがイスラエルの攻撃を阻止することになり、地域の安定を守ることになる」と伝えていたことが明らかになった。
しかし、イランは、この時にもウランの濃縮は止めないと主張していたとのこと。
サウジアラビアがこういう動きをしていたとなれば、状況はかなり懸念されることといえる。
イスラエルはどう出る?ネタニヤフ首相が政権存続のためにイランを攻撃するのではとの懸念も
イランが核保有国になることをイスラエルは看過できない。イランが真っ先にそれを使うのは、イスラエルだからである。
ネタニヤフ首相が、アメリカに十分な相談もなく、イランを攻撃するのではないかとの緊張感もある中、ネタニヤフ首相は、トランプ大統領に、「イスラエルは、アメリカとイランの交渉が決裂したと言われるまで、攻撃には出ない」との声明を出した。
しかし、これをそのままで受け取るわけにはいかないだろう。ネタニヤフ首相が政治的に危機的にある中、そのことからもイランへの攻撃に踏み切る可能性も出始めている。