イランが核兵器開発加速とIAEA:プーチン大統領がアメリカとイランの仲介に合意 2025.3.5

Russian President Vladimir Putin, right, and Iranian President Masoud Pezeshkian attend a signing ceremony at the Kremlin in Moscow, Russia, January 17, 2025. (Evgenia Novozhenina/Pool Photo via AP)

ロシアがイランとアメリカの核交渉仲介に合意

トランプ大統領は、プーチン大統領との関係を築こうとする動きを見せていると言われている。日本では、それは、ロシアと中国との結託を防ぐためとの分析が出ている。

中東では、トランプ大統領が、プーチン大統領と、少なくとも話ができる関係になることで、イランとの関係になんらかの変化が出てくる可能性が出ている。

イランは今、経済、軍事などあらゆる部門において、ロシアとの関係が深まる中、核兵器開発を加速していることがわかり、世界を震撼させている。

こうした中、トランプ大統領とゼレンスキー大統領と口論になり、トランプ大統領が、すばやく、本当に、ウクラナイへの武器支援を停止した。また、交渉にあたり、トランプ大統領が、ロシアを非難していないこともロシアは高く評価した。

この中で、ロシアは、核兵器開発問題で問題になっているイランと、トランプ大統領との仲介をすることに合意したと報じられている。

これはイスラエルにとっては、複雑な状況である。イスラエルは、今イランが傀儡組織を失って、弱体化している今のうちに、その核兵器施設を攻撃しようとしていたからである。アメリカのトランプ大統領とも連絡をとりあいながら、計画が進んでいると見られていた。

しかし最近になり、トランプ大統領は、戦争せずに交渉で、イランの核開発を止められるなら、その方が好ましいという考えを表明していたのである。それが前進した形である。

しかしながら、アメリカとイランの交渉が、ロシアの仲介で本当に始まるのか。その結果はどうなるのかはわからない。イスラエルはトランプ政権と詳細に連絡を取り合っていくことになる。

www.timesofisrael.com/as-trump-cozies-up-to-putin-russia-reportedly-steps-in-to-mediate-us-iran-nuclear-talks/

IAEAが警告するイランの核開発:イスラエルに危機感

イランのファルドウ核施設を訪問するグロッシIAEA長官
Wana News Agency, via Reuters

IAEA(国際原子力機関)によると、2月8日時点で、イランは、60%に濃縮したウランを274.8キロ保持していることがわかった。

前回2023年11月時点では、182.3キロだったので、92.5キロも増えたことになる。

イランの主張に反して、だいたい、平和利用だけで、60%のウランは不要である。逆にそこから核兵器製造可能になる90%への濃縮は容易であることから、イランが、核兵器製造の準備を進めていることは明らかである。

また、理論的に、90%のウラン42キロで原爆1個製造が可能になるので、イランが原爆を6-7個所有する日はそう遠くないということになる。IAEAのグロッシ事務局長は、イランが武器レベルにまでウランを濃縮していると警告し続けている。

apnews.com/article/iran-nuclear-iaea-weapons-grade-uranium-trump-0b11a99a7364f9a43e1c83b220114d45

その核兵器を製造する疑惑が深まるイランが、攻撃すると言ってやまないのが、イスラエルである。このため、イスラエルは、イランが弱体化している今、イランの核施設を攻撃するのではないかとの憶測が続いている。

しかし、イスラエル単独ではなく、アメリカとの協力で行うべきであることから、両国は、水面化での検討を進めているとみられていた。

しかし、トランプ大統領は、戦争は最大の無駄と考えており、できるだけ避けたいとの意思も表明していた。これは、イランの核施設を破壊してしまいたいイスラエルにとっては、あまり好ましい状況ではない。

しかし、トランプ大統領が、今後どう出るかもわからない上、ロシアのプーチン大統領もどこまで本気かはわからないので、まだしばらくは様子を見ると言うところかもしれない。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/as-trump-cozies-up-to-putin-russia-reportedly-steps-in-to-mediate-iran-nuke-talks/

イスラエルはイランの核施設を攻撃すべき:ヤアコブ・アミドロール元少将兼国家安全保障顧問

元少将兼国家安全保障顧問のヤアコブ・アミドロール氏はその正確な分析で知られる人物である。アミドロールしは、イランの核施設は今、攻撃するべきだと明言する。

しかし、それは必ずトランプ政権との合意、連絡の上でなければならないとも警告する。アメリカの知らないところで、やってはならないということである。

アミドロール氏がこう言うのは、今イランが、ヒズボラ、ハマス、アサド政権、そしてイラクも手を弾き始めており、かつてイランが、イスラエルを攻撃するための、三日月型の傀儡勢力が、消失していること。

また、イランが、今、経済的にも国内情勢も、あらゆる点でこれまでになく不安定になっているからである。

しかし同時に、アミドロール氏は、今、レバント(地中海東岸地方)が歴史的な転換期にあるため、これからどうなるかは、どんな結果が出てくるかもまったく予想できないということも、へりくだって知っておくべきだと強調する。

特に、シリアに立ち上がっている新政権が何者かはまだ明確でないと言う点。またトルコがどの程度介入してくるかもわからないこと。ヒズボラはほぼ孤立してはいるが、まだミサイルは多数残されている点もあげている。

イランを攻撃するべきではあるが、こうした多々の要素を相当に検証し、アメリカと十分に連絡を取り合う必要があるということである。

トランプ大統領はやるべき時にはやる人である。今後、イランへの攻撃がある可能性も含め、注目していきたい。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。