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ギデオンの戦車作戦:ガザ周囲など50%管理下か
ドーハでのハマスとイスラエルの人質解放と停戦に関する交渉は、結局まだ結果をだすことができず、ネタニヤフ首相は、5月20日(火)、代表団の代表(全員ではない)をイスラエルへ召喚している。
5月16日(金)に始まった、5師団によるガザ全域への大規模軍事作戦、ギデオンの戦車作戦は、1週間が経過した。
この作戦では、イスラエル軍がガザ地区を掌握することで、人質を探し出し、ハマスを殲滅することが目標とされている。
イスラエル軍は、ガザ市民を再び南部へ集中させ、ハマス関連地点への空爆、ドローン攻撃、地上軍による幹部殺害を続けている。
死者も毎日数十人規模で伝えられており、数百人になっている可能性がある。
激しい戦闘にある南部ハンユニスでは、「ハマスは出ていけ!」と叫ぶ人々の反ハマスデモも発生していた。
مسيرات ضخمة تخرج الان في كافة مناطق وشوارع خانيونس جنوب قطاع غزة تطالب بايقاف الحرب بشكل فوري وباي ثمن #اوقفوا_الحرب pic.twitter.com/sWWCuXWh9l
— زاهر ابو حسين (@ZAHERABUHUSIEN) May 19, 2025
www.bbc.com/news/articles/cyvmmr154v2o
イスラエル兵2人死亡・重傷者も
この作戦が始まってから、イスラエル軍でも死者が2人出た。1人は、ヨセフ・イエフダ・チラク軍曹(22)。チラク軍曹は、5月19日(月)、トンネルの破壊にむけて測量をしていたところ、銃撃を受けて死亡した。
後で、敵と間違った友軍による誤射であったことがわかっている。
21日には、ダニーロ・モカブ軍曹(20)が、ハンユニスでの戦闘中、パレスチナ人が20人以上死亡したと伝えラエル中、罠として仕掛けられていた爆弾で死亡した。
これでガザでのIDF兵士の戦死者は420人となった。
さらに23日には、ガザ北部での戦闘で、パレスチナ人50人が死亡したとみられる中、イスラエル軍の方でも、戦車隊の隊員が、重傷と伝えられている。
作戦が始まって1週間後、各地での戦闘は今も続いているが、イスラエル軍は、ガザの50%を管理下に置いたとみている。国連など、国際社会は70%とも言っている。
これをもとに、人道支援物資の搬入が始まっている。
人道支援物資搬入再開・ガザ南部から
ガザ地区では、2ヶ月半も人道支援物資の搬入を、イスラエルが阻止していることへの批判が、世界中から噴出している。
BBCが伝えるところによると、すでに20人以上が飢餓関連で死亡したとのことだが、イスラエルは、ガザはそこまでの食糧不足ではないと主張している。
5月19日には、イギリス、フランス、カナダの首相がイスラエルに支援物資搬入の再開を要求。拒否する場合は、具体的な対抗措置をとると共同声明を出した他、バチカンのレオ14世教皇からも、イスラエルに支援を再開するよう、要請が出された。
ネタニヤフ首相は、18日(日)に、物資の搬入を、右派議員らの反発が予想される議会を通さず、独断で許可。19日には、搬入が開始されている。
当初は、人々の手には届いていないとの報道もあったが、5月24日現在、許可した195台分の食料のうち、90台分が、人々に配布されたとのこと。
配布されたのは、小麦粉と、乳児用食料と医薬品であった。
搬入された小麦粉でピタパンが焼かれている。スープを必死で貰おうとする人々や子供たちの様子が報じられている一方、袋入りのピタパンが、各テントに配布される様子もある。
しかし、国連は、実際には、最低でも1日500台分が必要であり、全然足りないと言っている。
終わりなき戦争にイスラエル国内からも政府に懐疑的な声も
この戦争は一体いつ、どのように終わるのか。人質交渉は進まず、戦争が続くだけで、大規模な徴兵も行われている。チャンネル12の調査では、解答したイスラエル市民の55%が、ネタニヤフ首相は、自分の政治生命を維持するために、戦争を続けていると思うと答えていた。
20日、元IDF服参謀長官で左派民主党のヤイル・ゴラン党首が、ラジオ番組のインタビューで、「イスラエルは、かつての南アフリカのように、国際社会からはじきだされる国になろうとしている。
まともな国は、市民に戦争をしかけない。赤ちゃんを趣味で殺し、市民をそこから全員出してしまうようなことは考えない」と述べ、政府を非難した。
www.ynetnews.com/article/syyjjotbeg
すると、極右政党政治家たちからは、「ゴラン氏のコメントが、ワシントンDCの大使館職員の殺害の原因になったのだ(犯人の肩を押した)」と激しい非難が出た他、IDFのザミール参謀総長からも激怒の声明が出された。
この様子に、ヘルツォグ大統領は、若いイスラエル人外交官たちが犠牲になっているのに、そのことを政治問題に発展させるべきではないとの声明を出した。
しかし、国民はどうかといえば、ゴラン氏の発言を受けて、今後支持しないと答えた人は、5%にとどまっていた。
エルサレムでは、ユダヤ人自身が、“ジェノサイド”という言葉を使って、戦争を止めるべきだと訴えるデモも発生。
先月になるが、テルアビブでは、ユダヤ人とアラブ人住民が共に、ガザでの戦争に反対するデモを行っていた。
石のひとりごと
たとえ、ガザにハマス残っても戦争終えるべきか否か。戦争を終えるべきだと訴える声は、世俗派、左派勢が中心である。
ネタニヤフ首相の右派政権は、あくまでもハマスは殲滅すべきだと言っているので、国内に分断が発生しているのである。
イスラエルにとってどっちがいいのかはわからない。しかし、イスラエル人たちが感じているしんどさは、わかるような気もする。
もういい加減に終わってほしい。長すぎ。息子たちが戦死している。ガザの人々の苦難を見るのも疲れた。とにかく人質を取り戻して、戦争を終えようと言っているのである。
神戸のシナゴーグでは、この状態であっても、200〜300人規模で、イスラエルから旅行者が来ている。戦争であっても、できる限り、日常に支障を及ぼさないことこそが勝利だと考えるのが、イスラエル人なのである。
しかし、その人々の頭には、戦争という文字はある。家族友人に犠牲者を出した人もいたかもしれない。少し話すと、ニュースをみるのがうんざりという反応であった。
私の神よ。耳を傾けて聞いてください。目を開いて私たちの荒れすさんださまと、あなたの御名がつけられている町をご覧ください。私たちが御前に伏して願いをささげるのは、私たちの正しい行いによるのではなく、あなたの大いなるあわれみによるのです。
主よ。聞いてください。主よ。お赦しください。主よ。心に留めて行ってください。
私の神よ。あなたご自身のために遅らせないでください。あなたの町と民とには、あなたの名がつけられているからです。 (ダニエル9:18-19)