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イスラエル軍は、停戦合意の21日目にあたる、2月8日(土)から9日(日)にかけて、ネツァリム回廊(約6キロ)の東側からも撤退し、完全に撤退した形となった。
ガザ避難民の北部東部への帰還が進んでいる。
ネツァリム回廊は、前からあったわけではない。設置したのは、イスラエル軍である。ガザには、2005年まで、ハイテク農業を営むユダヤ人たちも住んでいた。
これを護衛していたイスラエル軍が、防衛目的で設置した道路であった。ネツァリムという名前は、当時ガザにあったユダヤ人居住地に名前である。
しかし、2005年には、イスラエル軍も撤退。2007年にはハマスが支配するようになった。2023年10月に、ガザでの戦争が始まると、イスラエル軍は、早期にネツァリム回廊を占拠し、ハマスなどテロ組織の南北の移動を阻止していた。
しかし、停戦が発効となりと、イスラエル軍は、1週間後の1月27日、まずネツァリム回廊の西半分から撤退した。海岸沿いにガザ避難民50万人以上が北部へ戻っていく様子が伝えられていた。
それから約2週間後の今、回廊の東半分からも撤退。イスラエル軍は完全撤退となった。これは、停戦協定の一環で、第一段階で遂行することになっていた項目であった。
現在、ネツァリム回廊の一部は、アメリカとエジプトが管理しているが、人だけでなく車両の行き来もオープンになっている。これを受けて、ハマスは、勝利宣言を発表した。
またイランは、ネタニヤフ首相は、遠隔地(アメリカ)で勝利めいた様相をしているが、現地ガザは戦闘員たちによって解放された。占領者やいかなる第三者(アメリカ?)も入ることはできないと言っている。
現在、イスラエルが管理するのは、ガザ南部のエジプトとの国境、フィラデルフィ回廊と、ガザの周囲を囲む幅1キロの緩衝地帯だけである(BBC地図赤のエリア)。
フィラデルフィ回廊については、停戦から50日以降、すなわち第二段階に入ってから撤退することになっている。
*第二段階への交渉について
第二段階の交渉は、ネタニヤフ首相が、訪米中は延期となっているため、まだ始まっていない。カタールには、8日(土)にイスラエルから、低レベルの代表団が派遣されたが、第一段階の遵守を確認することに限っての作業を行っている。
ネタニヤフ首相は昨日帰国し、明日の閣議で第二段階についての協議を行う予定になっている。
www.jpost.com/breaking-news/article-841347
ネツァリム回廊からの撤退が意味すること
エルサレムポストの解説者によると、ネツァリム回廊の周囲は広範囲にわたって、クリアにされ、見渡しのよい地域になっている。しかしその外側のガザ中央には、イスラエル軍の攻撃を受けないままになっている地域があり、そこにハマスなどが残留しているという。
ネツァリム回廊がこれからどうなるのか、誰にもわからないと解説者は書いている。生き残りのハマスたちが支配することになる可能性もあるという。これまで回廊は戦術的な勝利をもたらしたが、戦略的、計画性に欠けていたとも書いている。
www.jpost.com/middle-east/article-841373
ガザ北部国境にハマス集団が接近:イスラエルが発砲の緊張
2月9日(日)、ネツァリム回廊が解放になった後、ガザ北部、イスラエル側のキブツ・ナハル・オズぞいの国境の近くにに、数十人のパレスチナ人たちが現れ、緩衝地帯として駐留していたイスラエル軍の数百メートルにまで近づいてきた。
このため、イスラエル軍は警告射撃して、緩衝地帯に近づかないよう警告した。ハマスによると、この人々は民間人で、3人が死亡したと言っている。
רק 300 מטר מהגדר: עשרות עזתים התקרבו לקו הגבול מול נחל עוז והתעלמו מירי האזהרה | תיעודt.co/YqmTybUMiH | @shapira_nitzan pic.twitter.com/7GsamzMizi
— החדשות – N12 (@N12News) February 9, 2025
カッツ国防相は、緩衝地帯には絶対に近づかないというのが約束だとして、近づいた者には容赦しないと警告する声明を出した。
石のひとりごと
実質的にガザから撤退するような動きである。衰弱した人質の様子、ネツァリム回廊から撤退するイスラエル軍と、どうにもイスラエルが負けかけている様子にも見えなくもない。
トランプ大統領は、衰弱した人質の様子を見て、「ホロコーストの生き残りのようだ。ハマスに対する忍耐にも限界がある」と述べている。
これと、ガザに関するトランプ案は何か関係があるのだろうか。これからの動きに注目したい。