目次
イスラエル軍の恐るべし攻撃前準備
イスラエル軍は、6月13日(金)にイラン国内の各施設や軍事施設への攻撃を開始した。攻撃に参加した戦闘機は200機とも言われている。その規模の大きさだけでなく、イスラエルが、執念のごとくに、長年積み上げてきた情報収集と準備に基づく計画的な攻撃が報告されている。
まず、イスラエル軍と諜報機関モサドは、攻撃の前に、イランの地対空ミサイルの近くに誘導指揮爆撃システムを設置していたとみえ、攻撃が始まると同時に、それらが超正確に作動してイランの地対空ミサイルを破壊した。
また、イラン領内に、なんらかのシステムが設置されている車を忍び込ませることで、イランの防空システムを混乱させた。これらにより、戦闘機による空爆が妨害されることなく、実施できたとみられる。
最後に、モサドは、主とテヘランに、爆発物を搭載したドローンを配備しており、攻撃が始まるや、これらを発信させて、イスラエルにとって最も危険とみなされているアスファジャアバドの地対地ミサイルの発射地を破壊した。
www.ynetnews.com/article/rkgersf7xg#autoplay
ナタンツのイラン核施設への攻撃
最初の攻撃では、ナタンツにある、イラン最大のウラン濃縮施設への攻撃を実施。イスラエル軍は、地下にある複雑な濃縮インフラを破壊し、長期的な核兵器化プロジェクトを不可能にしたと発表した。
IAEA(国際原子力機関)は、ナタンツの地上施設は完全に破壊されていると発表。核施設への攻撃ではあるが、放射能や化学汚染の形跡はないとイランの原子力権威は発表している。
イスラエルは続いて、ファルドウへの攻撃にも踏み込んでいる。しかし、今の所、地上にある施設だけで、本格的な地下施設にはまだ達していないもようである。
これまでの攻撃で、国連へのイラン代表によると、78人(軍関係者含む)が死亡。320人が負傷している。
IRGC(イラン革命防衛隊) 最高司令官ら4人他多数死亡
イスラエル軍と諜報機関モサドは、長年の諜報活動により、かなり正確に、IRGC最高幹部らの動きを把握していたようである、
イスラエル軍は、6月13日(金)からの攻撃で、イラン軍のモハンマド・フセイン・バゲリ総長、IRGC(イラン革命防衛隊)のホセイン・サラミ総長(65)が死亡したと発表。

続いて、14日(土)の攻撃で、カッサム・アル・アンビヤ中央本部のゴラン・アル・ラシッド総長が死亡。
また、IRGC空軍のアミール・アリ・ハシザデ総長が、地下司令部で司令官たちと会合をしているところを攻撃し、アリ・ハシザデと複数のイラン空軍司令官たちが死亡した。
これらIRGCのトップ4人と多数の司令官の死亡は、イラン国営放送も確認を報じている。これだけの大物たちが、空爆で死亡したのである。背景に相当な諜報活動はあったと推測される。
*IRGC(イラン革命防衛隊)
イランは、1979年のイラン革命で、前のパーレビ国王による新米政権を打倒し、アヤトラ・ホメイニ師を最高指導者とするシーア派のイスラム政権が立ち上がった。(今のハメネイ師は、1989年からの後継者)
この時に、イラン軍の中には前政権に思いを持つものがいたことから、軍とは別に革命指導者ホメイニ師に完全に従う軍が設立された。それが、IRGC(イラン革命防衛隊)である。
1989年に軍と統合されたとのことだが、その後もIRGCが実質的な法秩序を支配している。兵力は12―12万5000人だが、戦時下では100万人まで徴兵できるとのこと。
このIRGCの中にクッズ部隊というのがあり、諜報活動や暗殺を行っている。昨年4月と10月、イランは、イスラエルへのミサイル攻撃を実施したが、それを指揮したのもIRGCだった。
アメリカ政府は、クッズ部隊とそれを支援するIRGCを国際テロリリスと指定。あらゆる取引を近いている。
イラン国内の様子:テヘランでは復讐を叫ぶデモ
AFP通信によると、イランでは、政府が一時的なインターネットの制限を行なっているという。国民に対し、ペゼシュキアン大統領が、「イランは自衛のために努力を惜しまない」と宣言するメッセージを大量に電話発ししたとのこと。イランでは、戦争に備えて、ガソリンスタンドに長い列ができているという。
こうした中、テヘランでは、イスラエルの攻撃に反発し、「イスラエルに死を!アメリカに死を!」と叫ぶ人々のデモの様子が伝えられている。
しかし、イランには、今のイスラム政権に反発する人々が少なくない。その人々は、静かにイスラエルの攻撃を歓迎していると思われるが、今の所、まだ表には出ていない。