イスラエル軍がハンユニスで人質2人の遺体に到達・保護:息子が複雑な思い語る 2025.6.6

ハンユニスで人質2人の遺体に到達・保護

ガザで地上戦を広範囲で展開しているイスラエル軍。6月5日(水)、南部ハンユニスで、人質2人の遺体を保護したと発表した。遺体の場所は、拘束したパレスチナ人戦闘員への尋問で明らかになったとのこと。

以下は今のハンユニスの様子。これに先立ち、ここにいたパレスチナ人たちは、移動を指示されて、出ていく様子が報じられていた。

 

発見された遺体は、ガディ・ハガイさん(72)と、その妻で、イスラエル人でアメリカ国籍も持つ、ジュディ・ウェインステインさん( 70)。

2人は、2023年10月7日、キブツ・ニール・オズ近くで、朝の散歩をしていた時に、ハマスに襲われ殺害され、遺体はガザへ拉致されていた。

この時のジュディさんの電話の救援を呼ぶ電話の記録が残されていた。ジュディさんは、ガディさん頭を撃たれて、脳の一部が出ている。血にまみれている」と言っていた。

ジュディさんによると、大勢のハマスがバイクに乗ってやって来て、地面に横になっていた2人を銃で撃っていた。電話をかけてはいたが、ジュディさんも、手と顔を撃たれたと言っている。

2人の死亡は同年12月の時点で、すでに確認されていた。ハガイさんたちを殺害し、拉致したグループは、ビバスさん母子3人を殺害したグループと同じと見られている。

ハガイさんは、ジャズミュージシャンで、イスラエル軍時代は、軍のオーケストラに所属していた。その後アメリカに行って、サキソフォーンを学んでいた。

ジュディさんは、ニューヨークで教師をしていたが、詩が好きで、特に、俳句が好きだったとのこと。帰国後は、出身キブツのエインハショヘットでのボランティアに来ていた時に、ハガイさんと出会い、結婚していた。

Ahl Haggai at his house in Ammikam on December 8, 2023. (MARCO LONGARI / AFP)

息子のアヒさんは、2人が遺体で戻ったことで、安堵と不安が入り混じった複雑な思いを語っている。

先に2人が戻ってきたのはなぜかと、まだ戻っていない人のことへの思いが深まったようである。

現在、まだガザにいる人質は56人。このうち33人はすでに死亡が確実とされている。

生存者は20人だが、この状況で生きているとなると、その心身の状況は想像を絶する。

石のひとりごと

先日、まだ生きている人質のことを覚える祈りがどうにも深まった日があった。暗闇、傷の痛み、感染もして膿も出ているかもしれない。

空爆の音、見捨てられた思い、心はもう死んでいるのではないか。。もし生きているなら、主がどうかその場に行き、なんとか死なないように、支えてくださるように。心が死んでしまわないように。

今もガザで人質を捉えている人、その周囲にいる人たちの心が変わるように。イスラエル軍兵士たちが早く到達するよう導きのために祈った。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。