イスラエル国内の分断:国会前での反政府デモ・警察と衝突で2人逮捕 2025.5.6

Clashes erupted between Israeli demonstrators and police in Jerusalem, anti-government protesters marched to the Knesset (Israel’s parliament) building on May 5, 2025

ガザでの攻撃拡大は、今もまだガザにいる人質の命を危うくすることにもなる。

また、イスラエル国内では、ガザでの戦争がまだ終わりが全く見えない中で、大規模な予備役兵の招集が始まった。多くの家庭が、息子たちや、父親たちを送り出している。それが最後になる可能性もある。

イスラエルでは、予備役を招集する際は、短期間の戦争にすることが暗黙の原則とされてきた。しかし、今その原則が揺らいでいるとも指摘されている。ここからも、戦争反対、反政府の声も高まっている。

5月5日(月)午後、国会前では、ガザへの攻撃拡大に反対するデモが行われ、数百人が参加した。ガザに息子がいる父親は、「誰も息子のことを考えていない」と訴えた。

デモ隊は、一時、首相府への道路も封鎖しようとするなど、暴力的な動きにもなったため、治安部隊が衝突し、少なくとも2人が逮捕された。

また同じ頃、国会の中でも、右派政治家デュディ・アムサレム氏が、ガザでの攻撃拡大反対のデモを先導しているのは、イランだと述べ、野党議員たちと論争になった。

アムサレム氏は、「デモ隊は、イランに経済的にも支えられている。時間がそれを証明するだろう」とまで述べたとのこと。

これについては、ネタニヤフ首相もディープステートが、イスラエルを内部から破壊しようとしていると言っていた。

www.timesofisrael.com/violence-erupts-near-knesset-as-police-forcibly-disperse-anti-government-protesters/

また、これに先立ち、連立政権の宗教右派政党のスモトリッチ経済相が、イスラエル人は、ガザの占領を受け入れるべき時が来たと発言したことも物議となっていた。

<石のひとりごと>

イスラエルでは、多くの一般市民はデモには参加しない方が多いのだが、実際のところ、どのぐらい分断が深刻化しているのか、表面的にはわからない。しかし、筆者の友人知人たちの間でも、右寄りの意見、左寄りの意見と、それぞれ考えは違っている。

しかし今、家族を予備役に送り出す人々にとっては、まさに自分ごとの問題である。どちらが正しかったのかは、後の時代にしかわからないが、主はすべてを知っておられる。主が、日々イスラエルを良い方に導いてくださるようにと祈る。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。