イスラエル・ガザ地区被害 2014.7.9

<ガザの被害>

一夜明けた現在、被害状況が報じられている。昨夜だけでイスラエル軍はガザ地区150カ所以上への空爆を行った。攻撃したのは、主に、ハマス指導者らの家やロケット発射地など。

パレスチナ側の情報によると、昨夜の空爆で、5才以下の子供2人を含むパレスチナ人23人が死亡。100人以上が負傷した。

<イスラエルの被害(イスラエル軍調べ)>

昨夜イスラエルにむけて45発の長距離ミサイルが発射された。一発はガザから116キロも離れたハデラに着弾。テルアビブには5発発射され、2発を撃墜。*空き地に落ちると計算されたミサイルは撃墜されない。

エルサレムには4発のミサイルが撃ち込まれ、3発が着弾。被害の報告は明らかでない。ベエルシェバでには8発撃ち込まれ、撃墜は4発。アシュドドでは8発撃墜で17発着弾。アシュケロンでは2発撃墜で着弾はなし。

*アシュドドで結婚式の最中にサイレン、ミサイル着弾で逃げる人々の様子:https://www.youtube.com/watch?v=x7qUlUEH5RE

この他、近距離のロケット弾を含めると、計154発がイスラエルに向けて発射され、29発を迎撃ミサイルが撃墜。117発が着弾した。

今のところ、イスラエル側に負傷者はないが、ショック症状で病院に搬送された人は多数。車や建物への被害届は多数出されている。

なお、今は9日の朝だが、エルサレムは、表面上はいつものようによいお天気で、いつものようにバスが走り、いつもの日常になっている。

<パレスチナ人も考えている!?>

夜が明けるとロケット弾による攻撃はほとんど沈静化する。今のところは・・・。ラマダンでイスラム教徒は日中飲食を断っている上、日中は、見通しがいいので、イスラエル軍に見つかりやすいからである。攻撃は、夜8-9時ごろが最も多いようである。

昨夜の攻撃の分析によれば、ガザ地区では、パレスチナ人も考えているようだとのこと。迎撃ミサイルは、一気に多数のミサイルが来た場合は対処しきれないという弱点がある。そのため昨夜は、各地に断続的に撃ち込んで来たのである。

また、パレスチナ人は、イスラエル軍にみつからないよう、ミサイルを地下から発射するという新しい作戦をとっている。地下にはトンネルもあり、ハマスメンバーたちはそのトンネルを使って移動しながら攻撃している。

<いや、考えてない!?>

それにしても、ハマスは、本当に執念である。ガザでは深刻な電力不足で、日に12時間も停電になる。

ガザ地区では今や電力不足で下水処理もできなくなっている。それでも地下トンネルを掘って、高度なミサイルを作り、イスラエルを攻撃する時間とエネルギーはおしまない。

理解に苦しむのは、そのかろうじてある電力はイスラエルから、彼らが今攻撃しているアシュケロンの発電所から来ているのである。

またそこまでイスラエルを憎んでいても、ガザの通貨はイスラエルのシェケルである。ハマスもイスラム聖戦も、ベングリオンやゴルダ・メイヤーの絵がついたお札やコインを使っている。彼らの心情はともかく、経済はイスラエルに依存しているという現状は否めない。

平和にやってさえいれば、イスラエルが門戸を開いてビジネスも盛んになると思うのだが、なんとも悲しいというか、愚かというか、残念な話である。

いすれにしても、ネタニヤフ首相も言っているように、戦いはまだ始まったばかりで、長期戦になると予測されている。読者も忍耐して共にお祈りくださればと思う。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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