イスラエルで死者5人:感染者2030人に急増:指導者たちのジレンマ 2020.3.25

左からシャイ・ババッド氏、ネタニヤフ首相、バル・シモン・トーブ氏 出展:Times of Israel

イスラエルで5人の死者

24日午後、ホロン(イスラエル中央部)の病院で、2人の死者が出た。女性マルカ・カバさん(67)で、いくつかの基礎疾患があったという。夫と3人の子供たち、7人の孫たちが遺族となった。家族の中にも感染者がいるとのこと。

数時間後、エルサレムの病院で、男性(87)が死亡した。先週、新型コロナ最初の犠牲者として亡くなったアリエ・エバンさん(88)と同じ高齢者ホーム、ノフィームの住人であった。

www.timesofisrael.com/coronavirus-claims-3rd-victim-in-israel-an-87-year-old-man-from-jerusalem/

イスラエル保健省によると、過去24時間で、感染者はさらに488人以上とこれまでで最大の増加数を記録し、計1930人となった。重症は、34人。

感染者のうち、病院にいるのは349人。161人がホテルの医療センター、652人が自宅療養。712人が自宅で経過観察。先日、陽性が確認された未熟児は、後の検査で陰性となった。これまでに感染して快復した人は少なくとも53人である。

現時点で7万人以上が隔離とされ、13万5000人が自主隔離をしている。*この数字は常に変化している。

この後、25日朝9時(日本時間午後4時)死者はさらに2人増えて5人、感染者は2030人にになったと報道された。

25日死亡した人は、シェバ医療センターで死亡した男性(76)で、基礎疾患があったという。もう一人は、ペタフティクバの男性(87)で、車椅子で病院に搬入された直後に死亡したとのこと。死亡後検査で、新型コロナが検出された。

感染拡大とともに感染者の重症度も進行しているようである。

www.ynetnews.com/article/315S0EB8N

25日夜には、新たな行動規制が出されると伝えられているが、人々は皆家にいるので、テルアビブ、エルサレム旧市街は、すでにからっぽになっている。

3月18日時点でのエルサレム(World Jewish Congress)

保健省と経済省の衝突:指導者たちのジレンマ

死者が3人になった時点で、イスラエルでは、国の封鎖を含むさらに厳しい措置が発令されるみこみと伝えられていた。

規制の内容は、バスなどの公共交通機関はさらなる削減と、人々の移動を、家から100メートル以内にするなどである。この件について、24−25日にかけて、首相と、保健省局長、経済省局長が、今後の方針について、6時間以上になる会議を行った。

保健省局長のバル・シモン・トーブ氏は、さらに厳格な移動制限を主張した。しかし、経済省局長のシャイ・ババッド氏は、「ここまで規制すると、職を失う人がさらに増え、イスラエル経済が、もはや立ち上がれないほどに破綻してしまう。ここまで厳格な規制を必要としないと言っている専門家もいるではないか。」と、反論した。

また、バル・シモン・トーブ氏が保健省初の医師でない局長であることから、一時、そのポジションは、医師が担うべきだとの声もあがった。しかし、これについては、テルアビブの大病院イチロフ病院の院長からは、医療と社会のバランスをとるためにはシモン・トーブ氏の方がよいと反論した。

命優先か、経済も考えなければならないのか、日々難しい決断をする責任を負う指導者たちのジレンマは、はかりしれない。

www.timesofisrael.com/tv-top-officials-at-health-finance-ministries-lock-horns-over-new-restrictions/

経済破綻による死者の方がコロナ死者より多くなる:トランプ大統領

このジレンマはアメリカでは特に深刻である。アメリカでは、経済活動の中枢ともいえるニューヨーク州での感染拡大と死者数の急増が深刻になっている。現在、ニューヨークのマンハッタンは封鎖され、医療崩壊寸前と伝えられている。

トランプ大統領は、ニューヨーク州と、ワシントン州、まもなくカリフォルニア州を大規模災害に認定するとみられる。しかし24日のインタビューにおいて、トランプ大統領は、このまま経済活動の停止が長引くと、自殺など新型コロナとは別の死者を増やすことになると指摘。その犠牲者の数は、コロナによる死者数より大きくなるのではとの懸念を語った。

トランプ大統領はアメリカの経済を支援するため、国民一人に1000ドル支給なども含めて1兆ドルの支出を発表していたが、22日になり、これを倍の2兆ドル(220兆円)規模の予算案と考えているようである。

www3.nhk.or.jp/news/html/20200322/k10012343641000.html

「社会をできるだけ早く元のように動かさなければならない。」として、イースター(4月12日)までには、今閉鎖されている経済活動を再開させたいという目標を明らかにした。

こうした流れを受けて、アメリカでも日本でも、株価が上がるという効果が出ている。トランプ大統領の一言の影響は相当大きい。

www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/03/4-100_2.php

石のひとりごと:とりなし>

新型コロナウイルスによるパンデミック。じわじわと広がり、イスラエルでも死者がではじめた。だれがこんなものの発生と、世界がここまで麻痺すると予想しえただろうか。

皮肉なことに、外へでれば、なんと美しい春。桜がさきはじめ、鳥もいつもと同じように可愛い鳴き声とともに飛び回っている。人間以外のすべてのものは、なんの影響も受けずにいるのに、人間だけが、この目に見えないウイルスに、まったく翻弄させられている。

東京オリンピックもとうとう1年延期となった。時間をかけて準備したものを、どんどん予定変更しなければならない。日本人には、まったく不得手な分野であり、大きな痛みを伴う訓練になるだろう。

こうした中、危機対応の訓練をなんども課されてきたイスラエルは、おそらくどこの国よりも柔軟性をもって、また今までにやったことのない第3の道を選ぶという賭けをすることによって、この危機を乗り越えていくと思う。それだけでなく、世界を助け導く者になるだろう。

その背景には、前にも書いたが、イスラエルは、最終的にはすべてを支配しているオールマイティ(全能の主)の存在、人間の力を大きく超えた神の存在を、長い迫害の歴史を通してすりこまれてきたからである。

今の新型コロナの発生も、それに対する人間たちの必死の対策も、すべては、天地創造の神の手中にある。イスラエルは、最終的には、だれに頼んだらいいかを知っているということである。

要するに、これを止められるのはこの神だけなのだから、最終的には、このお方に、なんとか止めてくださいと、たのみこむことが大事ということである。

その際に、祈りの形などはない。こちらが、神にお礼として提供出来るものもない。ただ頼み込むということである。すでに決まっていることでも、とにかく、そこを
なんとかその予定を変えてでも、止めるようにたのみ込むということである。これを聖書では、とりなしという。

とりなしをした代表的な人は、モーセであった。罪から離れようとしない人間(聖書ではイスラエルの民)を、ついに滅ぼしてしまおうとする主の前で、モーセは、「それだけは、なんとか、やめてください!」とがんばった。

時には、「彼らを滅ぼしても、あなたにとってなんの得になりません。あなたの名が傷つくだけです。」と、中東式の交渉までして、たのみこんだのである。そのモーセに免じて、彼らは滅ぼされないで済み、今また、イスラエルという国が存在している。

同様に、私たちキリスト者は、キリストの十字架によって罪赦され、この天地創造の神につながるものとなった。つながるだけでなく、深く愛されている。私たちはこの神に、非常に大きなパイプ、コネをもっている。私たちの声もオールマイティに必ず届くということを過小評価してはならない。

今、大きな決断を日々迫られているトランプ大統領や指導者たちが、とりなしを必要としている。また、もしかしてこの疫病で、救われる前に死んでしまう魂がいるかもしれない。そうならないように、オールマイティの主に頼み込まなければならない。私たちもまた、ただこの危機を乗り越えるだけでなく、周囲に光と希望を発する者になれるはずである。

「神。すべての肉なるもののいのちの神よ。ひとりの者が罪を犯せば、全会衆をお怒りになるのですか。」(民数記16:22)

石堂ゆみ

石堂ゆみ

ジャーナリスト、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイド、イスラエル政府公認ガイドとして活動しています。 イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて18年。学校・企業・教会などで講演して15年になります。