イスラエルがベイルート郊外ヒズボラのドローン工場を空爆:レバノン政府はイランに非干渉を要請か 2025.6.6

(photo credit: MOHAMED AZAKIR/REUTERS)

イスラエルがベイルート郊外ヒズボラのドローン工場を空爆

6月5日(木)午後10時すぎ、イスラエル軍が、レバノンの首都ベイルート南部郊外で、ヒズボラの拠点があったダヒエ地区。そこの8つのビルへの空爆を実施した。

イスラエル軍によると、標的は、ヒズボラが、イランの支援を受けて、大量のイスラエル攻撃用のドローンを製造している地下工場だった。

攻撃の前には、関連地域住民に避難警告を発していたとのこと。以下のクリップは、警告を受けて、逃げる人々の渋滞の様子。今のところ死傷者の報告はない。

 

The cross atop the ‘Our Lady of Hadath Church’ appears in front of Beirut’s Dahiyeh suburb,  June 5, 2025. (AP Photo/Hassan Ammar)

写真は、ベイルート南部ダヒエ地区。十字架が暗闇の中で光っている。

イスラエル軍は、この後、レバノン南部住民に、避難警告を出しており、攻撃が続く可能性が高い。

以下は、その避難警告。スポットが明示され、そこから半径500メートル以上離れるよう、警告している。

カッツ国防相は、レバノン政府に対し、レバノン国内で起こっていることは、すべて政府の責任になると述べた。

続いていたヒズボラ(イラン)との戦い

オリーブ山通信ではすべてカバーできていなかったが、昨年11月に停戦となった後も、イスラエルは、ヒズボラの拠点や武器庫などの破壊は続けている。イスラエル軍によると、停戦以後の攻撃で死亡したヒズボラ司令官や、戦闘員は、180人に上っている。

最近では、6月1日に、南レバノンにいたヒズボラの対戦車部隊を攻撃し、その際に高官2人が死亡していた。

新しく発足したレバノン政府もヒズボラの非武装化には努力しているのだが、イランが、今も活発にヒズボラを支援し続けているのである。

www.timesofisrael.com/idf-says-drone-strike-killed-hezbollah-anti-tank-missile-operator-in-south-lebanon/

イランのアラグチ外相がレバノン訪問:レバノンはイランに非干渉を要請か

in Beirut’s southern suburbs on June 3, 2025. (Anwar AMRO / AFP)

この攻撃の数日前の6月3日(火)、イランのアラグチ外相が、レバノンを訪問。

ヒズボラの現在のトップ、ナイム・カッサムと会い、前ヒズボラ最高指導者、故ナスララ党首の墓(昨年9月に死亡確認)に献花していた。

この時、ナイム・カッサムは、アラグチ外相に、継続した支援に感謝を表明していた。

アラグチ外相は、レバノン政府のアウン大統領、サラム首相、ベリイ国会議長にも面談した。今のレバノン政府は、イスラエルとの戦争でヒズボラが弱体化したことで、前政権が倒れたことにより、立ち上がった政権である。レバノン側は、イランに、ヒズボラへの支援を控えるよう伝えたとみられる。

会談の後、アラグチ外相は、イランは、レバノンの主権の確立のために、全力で支援していくとXに投稿。

一方、レバノンのベリイ議長は、Xに、「イランとの新しい“非干渉”の時代の幕開けだ。イランのヒズボラへの武力経済力への支援が、レバノンを長い間不安定にしてきたからだ。」と投稿していた。

www.timesofisrael.com/irans-foreign-minister-visits-lebanon-to-discuss-hezbollah-support/

イスラエルのベイルート南部への空爆は、この会談の2日後だった。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。