イスラエルがパレスチナ囚人602人釈放中止:人質の侮辱的扱いは合意違反と 2025.2.23

Vehicles move outside the Israeli military Ofer Prison on the day Israel is expected to release Palestinian prisoners as part of a hostages-prisoners swap and a ceasefire deal in Gaza between Hamas and Israel, February 22, 2025. (photo credit: REUTERS/AMMAR AWAD)

人質への侮辱的な解放時のショー

人質解放に伴う侮辱的なショーが続いている。今回解放された、オメルさんは、解放時のショーの際、ハマス戦闘員の指示で、隣に立っているハマス戦闘員の頭にキスをさせられていた。

さらに、今回は、まだガザにいる人質に、強制的に人質解放の侮辱的なショーを見学させ、それをプロパガンダ映像として、家族に送りつけるという、ありえない残酷で侮辱的な行為に出た。

シリ・ビバスさんだと言って、別人の遺体を送りつけ、その後で本人の遺体をあらためて送ってきたことも、ありえない侮辱である。

こうした流れを受けて、2月24日(日)、イスラエルは、数時間に及ぶ国家安全保障閣議の後、予定していたパレスチナ囚人602人の釈放を延期すると発表した。期限は無期限である。

釈放される予定だった囚人は、すでにバスにも乗せられていたが、独房などへ戻された。

www.ynetnews.com/article/hyacomdckx#autoplay

パレスチナ囚人の釈放は、次の人質が、侮辱的なショーなしに解放された後になると言っているが、次の予定として上がっているのは、27日(木)に第一段階の範囲での4人の遺体の返還である。

次に生きている人質の解放はまだ決まっていないので、次のパレスチナ囚人の釈放が、いつになるかはわからない。

第二段階の交渉については、まだ始まりもしていない。ハマスは、完全停戦とイスラエル軍の完全撤退を主張しているが、イスラエルは、ハマスを殲滅するつもりなので、合意に至ることは、困難、というより、およそ不可能というのが現状である。

イスラエル政府が、このことで求めているのは、残りの人質(遺体を含め)全員を一度に解放させるということのようである。現時点で、ガザには、まだこの遺体の4人を含め63人が残されており、27人は生きているとみられている。

全員を一度に解放させると言う方針には、野党も合意するとの声明を出している。

しかし、テルアビブでは、22日(土)、人質家族たちによる毎週のデモの中で、政府に対し、交渉は中断しないでほしいと訴えていた。

イスラエル閣議が、パレスチナ囚人の釈放を停止した背景には、今回釈放されるはずだったテロリストが、あまりにも凶悪であることから、人質奪還のために、支払いが高すぎるとの意見も出ていたこともあるかもしれない。

たとえば、ナエル・バルグーティは、イスラエルの刑務所で44年服役を言い渡されていたが、33年経過したところで、2011年のシャリート兵士との交換で釈放され、その3年後にはまた逮捕されていた。

16人が死亡し、150人が負傷したマハネイ・ヤフダの自爆テロ(1997年)に関与して、終身刑27回言い渡されているの極悪犯も含まれている。(以下当時の様子)

ハマスは、イスラエルが停戦協定に違反したと主張。ネタニヤフ首相は、囚人釈放を恋に先延ばしにしていると避難した。今後どうなるかは、見通しはまだ立っていない。

www.timesofisrael.com/israel-halts-release-of-palestinian-prisoners-over-humiliating-hostage-handovers/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。